2017 Fiscal Year Annual Research Report
観測インフラストラクチャーの構築に基づく科学・宗教・実践の変容
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17J00689
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森下 翔 大阪大学, 人間科学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | インドネシア / 科学技術の人類学 / 科学と宗教 |
Outline of Annual Research Achievements |
文献研究としては、インドネシアのムスリムの実践、および科学論におけるインフラストラクチャー研究についての文献の渉猟を行った。インディペンデント・キュレーターの長谷川新氏、文化人類学者の古川不可知氏らとの鼎談に基づく論考が批評紙「アーギュメンツ」に掲載された。『文化人類学』に執筆中の博士論文の一部を投稿したが、受理には到らなかったため、内容を改善して他の雑誌等に投稿する予定である。 フィールド調査としては、博士論文の補足調査として日本地震学会・地球惑星科学連合大会等の地球科学系学会での聴講を行うとともに、インドネシアのボスカ天文台を約2週間訪問し、参与観察および天文学者へのインタビューを実施した。また、ボスカ天文台の歴史的背景等についての資料を受け取った。 学会・研究会報告としては、5月にトロント大学の人類学ワークショップ(Osaka University and University of Toronto Anthropology Workshop)および地球惑星科学連合大会(JpGU-AGU Joint Meeting)にて、6月に神戸人類学研究会にて、11月に「シミュレーションの科学論」研究会にて、2月にフィールドサイエンス・コロキアムにて、それぞれ発表を行った。それぞれの発表において人類学者・地球科学者・科学史家・科学哲学者といった専門家と意見を交換し、大変有益であった。とくにトロント大学の人類学ワークショップではカナダの若手人類学者と意見を交換し、カナダの人類学の最新の知見と動向について学ぶことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インドネシアでの現地調査において、バンドン工科大学のDhani Heldiwijaya教授と面談し、翌年度以降の調査計画について相談した。その際、来年度に長期の調査を行う旨について承諾を受けた。イスラーム教の暦を決めるための月観測の現況について確認し、近年行っているというイスラームの慣習についての研究(太陽の沈む時刻に関する研究)について話を伺った。 以上のことから、翌年度以降の調査を行う上での準備は整っており、また今年度においても有益なフィールドデータを収集することができているため、研究は順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
インドネシアでの長期調査を行い、天文台の活動状況について調査する。ラマダーンの日取りの決め方の現況に加え、太陽の沈む時刻に関する新たな研究を行っていることが判明したため、その実践についての聞き取りを進める。夜間の天文観測についてのフィールド調査の許可を得たため、天文台での観測実践について具体的に調査する。 文献調査としては、イスラーム社会におけるラマダーンの日取りを決める論争について、さらに文献の渉猟を進める。また、インフラストラクチャーに関する最新の文献を読み込む。 フィールド調査と文献研究の成果について学会および研究会にて発表する。すでに7月頃に東京外国語大学での研究会における研究発表を予定している。
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Research Products
(6 results)