2018 Fiscal Year Annual Research Report
教師教育における「批判的省察」の理論的・実証的研究:「省察」概念の再構築に向けて
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17J00726
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
高野 貴大 筑波大学, 人間総合科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 省察 / 教師教育 / アメリカ / 社会正義 / 教員レジデンシー |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、採用初年度に引き続き研究資料の収集と米国での現地調査を行い、おおむね予定通りに研究を実施できた。 研究資料の収集として、教師の「省察」概念にかかわる基礎的文献の収集に加え、米国における教師教育施策の歴史と現状、課題にかかわる文献、調査報告書等を収集した。具体的には、米国で現在進行中の「社会正義」を志向する教員養成プログラムに関する文献を収集し、それがコミュニティ・ベースという文脈で広がりを見せる現状を把握した。また、「社会正義」を志向する教員養成プログラムとして、全米で広がりを見せる教員レジデンシープログラムについて、全米ネットワーク組織の資料や研究論文等の収集を行った。 これらの研究資料の収集と並行して、2回の米国での現地調査を行った。1回目は、2018年9月中旬に、コロラド州デンバー、イリノイ州シカゴで実施した。コロラド州デンバーでは、コロラド大学デンバー校を訪問し、教員レジデンシープログラムの担当教員にインタビュー調査を行った。さらに、プログラム受講者が受講する講義も参観し、「社会正義」の実現という視点が大学での講義にいかに包含しているかを実態把握できた。イリノイ州シカゴでは、「社会正義」を志向する教員養成の現状と課題に見識の深いデポール大学の教員にインタビュー調査を行った。そのなかで、コミュニティ・ベースの視点が米国の教員養成においてより重視されている点を把握できた。2回目の調査は、2019年3月中旬にワシントン州シアトル学区で実施した。まず、学区教育委員会の教員レジデンシープログラム担当者にインタビュー調査を行った。次に、プログラム受講者が実際に学校でどのような実践を展開しているかを把握した。具体的には、プログラム受講者と出身者にプログラムの現状と課題についてインタビュー調査を行った。さらに、プログラム出身の教員が働く学校の管理職にも聞き取りができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、研究対象として焦点化した教員レジデンシープログラムについて、文献研究と現地への訪問調査を通じて研究を進展させることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度本年度と、教師の省察概念に関する基本的文献の収集を行い、それをもとに米国で現在進行中の教員レジデンシープログラムについて調査研究を実施することができた。これらで明らかにしたことをもとに、今後の研究では、教師の「批判的省察」概念や社会正義を重視した教師教育の施策やプログラムがどのような進展を見せているのかについて、追加の文献収集、訪問調査を実施予定である。さらに、この点については、米国以外の海外調査も視野に入れ、比較検討を進めたい。
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Research Products
(6 results)