2019 Fiscal Year Annual Research Report
Reception, development and influence of the Mehod Acting in American theater
Project/Area Number |
17J00741
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 博士 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 演技論 / リアリズム / 演出 / 歴史叙述 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は演技教育者リー・ストラスバーグの演技論「メソッド」を歴史的な文脈を踏まえ、その理論と実践について多角的に考察することを目標としている。今年度は、前年度から引き続きストラスバーグを19世紀以降の「演出家の出現」という文脈に位置付けるため、前年度に収集を行ったE・G・クレイグの著作や資料の読解を進めた。同時に、ストラスバーグおよびクレイグを西洋における「モダン(modern)」という歴史意識と連関させるための研究を行った。 クレイグは俳優の代替として「超人形」の要請を説いたが、その際舞台全体を統べる演出家の必要を唱えた。ストラスバーグはクレイグから決定的な影響を受け、「超人形」を俳優の理想へ再設定すると同時に、特権的な演出家の立場を演技教育者という役割に置き換え継承したことが判明した。「メソッド」が直接依拠したのはスタニスラフスキーの著作および実践であるが、他方で、ストラスバーグがクレイグの活動から霊感を受けていたことが生産的なかたちで取り上げられることはなかった。本研究はその欠落を補うものである。 さらに、ストラスバーグには過去の俳優を理想化して模倣し再現するといった傾向がみられ、かつクレイグにも「超人形」の起源を古代彫刻にもとめるなど同様の傾向がみられる。両者の歴史叙述に注目することにより、このように過去を模倣することで現在を意義付けるという構造が、西洋における「モダン」という概念ないし時代認識に由来するものであると整理することが可能となった。少なくとも英語圏においてクレイグに代表される「演出家の出現」はこうした歴史観と深く結びついており、ストラスバーグはこの歴史観を継承しているのである。 以上述べたようにストラスバーグと「メソッド」を論じるにあたり重要な論点を複数用意することができた。これまでの研究成果をふまえ、以後博士論文を執筆してゆく予定である。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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