2018 Fiscal Year Annual Research Report
創造性の適応的な増進に向けたマインドワンダリングの応用可能性に関する基礎的研究
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17J00747
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山岡 明奈 筑波大学, 人間総合科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | マインドワンダリング / 創造性 / 拡散的思考 / 精神的健康 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,マインドワンダリングと呼ばれる現象を利用して,精神的健康を損なわずに創造性を増進する方法を検討することである。マインドワンダリングとは,現在行っている課題や外界の環境から注意がそれて関係のないことを考える現象であり,先行研究において創造性を増進する一方,精神的不健康さをもたらす可能性が指摘されている。しかしながら,マインドワンダリングの仕方によっては精神的不健康さと関連しないことも報告されていることから,創造性が高く精神的に健康な人が頻繁に行っているような,適応的なマインドワンダリングであれば,創造性を増進しつつ,精神的健康を維持することができると考えられる。 昨年度に行った研究1と研究2から,創造性が高く精神的に健康な人は過去や他者に関するマインドワンダリングが少ないことが示されたため,本年度は,研究3を実施し,過去や他者以外のマインドワンダリングをあたため期に誘発する方法を検討した。具体的には,実験3-1では,統制群とあたため期前にこれからの楽しい予定について記述してもらう群を比較し,実験3-2では,統制群と,あたため期前にこれからの楽しい予定を考えてもらう群と,これまでの人間関係の嫌な出来事を考えてもらう群の3群を比較し,実験3-3では,あたため期に意図的にマインドワンダリングを行う群と非意図的に行う群を比較して,過去や他者に関するマインドワンダリングを少なくする方法を検討した。実験3-2のあたため期にこれからの楽しい予定を考えてもらう群において,比較的過去の思考の少なさが認められたが,より大きな効果を期待できる方法を来年度も引き続き検討する。 企業・教育など,あらゆる領域で創造性が求められている現代社会において,適応的な創造性の増進する方法を考案することは非常に意義深いといえる。本研究はそのための基礎的知見を積み上げたといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,研究実施計画通りに研究3として実験を複数回行った。今年度中に研究3を終え,来年度は研究4と5に移行する予定であったが,来年度も引き続き研究3の実験の続きから行う予定である。 また,昨年度および本年度の成果を国内・国外の学会で発表しており,研究1については教育心理学研究という雑誌への掲載が決まった。また研究2についても現在論文執筆中であり,全体的にはおおむね順調に進展していると言えるだろう。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は,研究3の続きである実験3-4を実施し,あたため期に過去や他者に関すること以外のマインドワンダリングを誘発する方法を検討する。介入効果の見込める結果が得られた場合は,研究4と5を行い,芸術系学部生の創造的な活動における実態調査(研究4)および介入実験(研究5)を行う。介入実験が困難な場合は,研究4を拡大し,創造的な職業に就いている人を対象に,創造的な活動の実態や,マインドワンダリング,精神的健康との関連をWeb調査によって検討する。
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Research Products
(6 results)