2019 Fiscal Year Annual Research Report
コモン・ロー法格言集におけるローマ法格言の利用と影響について
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17J00760
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松本 和洋 京都大学, 法学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | コモン・ロー / ローマ法 / 法格言 / 法学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度では、9月後半から3月前半にかけて英国ロンドン市に滞在し、同地にあるUniversity of London傘下のInstitute of Advanced Legal Studiesにて在外研究を行った。12月に同機関のランチタイム・セミナーで、また2月にはエジンバラ大学にて口頭発表した。 昨年度の研究では、ローマ法由来と理解されてきたコモン・ロー法格言の存在が、そのまま直接的なローマ法とコモン・ロー間での「法の継受」を示すものではなく、むしろコモン・ローとしての法格言(マクシム)の吸収と消化のプロセスに着目した。本年度と上記の口頭発表では、初年度に検討した我が国の明治初期における西洋法からの法格言の継受状況と合わせて、これらを総合的に理解することを主たる目標とした。 明治期の法格言集のうち、初期のものは英国のブルームによる法格言集に大きな影響を受けていたが、ブルーム法格言集は英国つまりコモン・ロー法学におけるマクシム論の一つの終局点に属するものであった。マクシムへの注目はすでにチューダー朝に顕著であったが、ブラックストンによればマクシムはただ長期にわたって利用されてきたことのみを持って、その原理や定理の性質が決せられる。これは大陸法的な体系的法典を持たないコモン・ローにおいてこそ、マクシムが法の定理や原理を代替することができたと言える。しかしながら、成文法がその役割を占める近代ヨーロッパ大陸国家とこれに倣った我が国にとって、マクシムの重要性は必ずしも上位に位置するものではなかったし、コモン・ロー法学においても法格言集の性格や狙いは「初学者向け」として変質していた。 しかしながら、マクシムの吸収と消化の過程は、法学の一つの軌跡を示していると見ることもできる。今後は個別のマクシムとその利用過程に注目することで、コモン・ロー法学の側面を示すことが可能であると考える。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)