2017 Fiscal Year Annual Research Report
A biomechanical study of the trunk in Japanese Traditional Dance using Motion Capture System
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17J00783
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
宇津木 安来 東京藝術大学, 音楽研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 日本舞踊 / 伝統文化 / 技法分析 / 体幹部 / モーションキャプチャ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本舞踊の「体幹部」の技法について、その具体的な動きをモーションキャプチャを用いて明らかにすることである。日本舞踊において、「体幹部」の技法は日本舞踊のパフォーマンス全体を支える基盤であり、最中心となるべき重要な技法であるにも関わらず、非明示的であるために、これまで感覚的に伝承されてきた。本研究では、熟練した指導者が行う「体幹部」の動きを解明することで、より具体的な技法の習得を可能にし、日本舞踊の伝承水準の向上に繋がることを目指している。
今年度は、平成27年度、28年度に東京藝術大学日本舞踊部屋で光学式モーションキャプチャシステム(Motion Analysis MAC3D System)、赤外線カメラ16台(Raptor-12HS×8台/ Kestrel×8台 )、反射マーカ81個を使用して計2回実施した計測データのポストプロセス作業(編集作業)と解析作業を行った。
研究は「体幹部」の技法の中でも特に日本舞踊の要と言われる「腰」の技法を中心に行った。モーションキャプチャデータと指導言語とを併せて参照し、指導言語の背景にある指導者の実際の腰の動きについて明らかにすることで、これまで考えられて来た「腰」の技法に対する指導言語への解釈を新たにする結果を得た。 研究成果については、国際学会や国内の学会、論文などで発表した。また、一般公開のワークショップや発表の場で研究成果の発表と踊りの実演を併せて行うなど、多様な形でのアウトリーチ活動を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は当初の年次計画に基づき、(1)データポストプロセス作業の完了とデータの分析 (2)会発表や論文投稿などの研究成果発表の活動 共に順調に進めることができた。
今年度は日本舞踊における「体幹部」の技法の中でも特に、日本舞踊の要と言われる「腰」の技法を中心に研究し、 その成果を論文として発表した。 人文科学とコンピュータシンポジウム2017では、「日本舞踊における「腰」の技法分析 -モーションキャプチャを用いて-」という題でポスター発表し、学生奨励賞を受賞した。またそれに基づいた論文が情報処理学会の電子図書館情報学広場に公開された。発表および論文では、指導者と学生四人のモーションキャプチャデータを「腰」に関する指導言語と併せて参照し、指導言語の背景にある指導者の腰の動きについて考察した。その結果、「腰を安定させろ/腰を動かすな」という指導言語に対して、これまで考えられて来た、腰の動きを抑制して腰を安定させようとする"静的安定状態"ではなく、腰を身体全体が安定する理想的な軌道上に常に置き続けることによって安定させる、"動的安定状態”という状態があることが明らかになった。"動的安定状態"に関しては、東京体育学会第9回学会大会において「日本舞踊における「腰の安定」に関する研究-モーションキャプチャを用いて-」という題名で、更に別のモーションキャプチャデータを示した上で詳しく検討し、ポスター発表し、東京体育学賞を受賞した。この発表に基づいた論文を現在執筆中である。
またこの他に、東京藝術大学と京都大学の共同研究会である「aiカルチャー協働研究会」(一般公開)や、東京藝術大学が丸の内で行っている「藝大アーツイン丸の内」(一般公開)、一般公開のワークショップ等、様々な場で研究の成果発表と踊りの実演を併せて行い、研究成果の発信を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度については、「腰」の技法についての考察を進めつつ、更に日本舞踊の女踊りで特に重要とされる「胸」についても研究する。また、これらの研究成果を元にした、日本舞踊の新たな指導法および稽古法についての提案を試みる。また今年度についても、平成29年度に引き続き、(1)データポストプロセス作業の完了とデータの分析 (2)学会発表や論文投稿などの研究成果発表の活動 を積極的に進めるつもりでいる。
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Research Products
(5 results)