2019 Fiscal Year Annual Research Report
Reorganization of Tibetan Buddhism World seen from Qing's rule over Amdo
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17J01093
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
岩田 啓介 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 清朝 / チベット / チベット仏教 / 青海モンゴル / 牧畜 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、まず清代のアムド地方の牧畜を政治権力の視点から整理した。牧畜は徴税の基本となったうえ、青海湖畔にダライ=ラマやパンチェン=ラマの属民が居住し、使者や商人への物資の補給を担っていた。そして、モンゴルや満洲に広まった「チベット仏教世界」を牧畜がインフラ面から支えていたことを指摘し、第15回国際チベット学会において口頭発表した。また、チベット牧畜文化の研究も進め、その成果の一部が星泉・海老原志穂・南太加・別所裕介(編)『チベット牧畜文化辞典(チベット語・日本語)』として2020年3月に刊行された。 次に、「チベット仏教世界」の広域的な繋がりを支えた交通路の研究を進めた。「王撫遠大将軍奏档」等を用い、清朝がチベットへの交通路として維持が困難な青海ルートから、四川ルートの利用へと変更したことを確認した。他方ダライ=ラマ政権は、アムド地方やモンゴルとの繋がりの維持のために、青海ルートを利用し続けたことを明らかにした。また、青海省内で西寧・玉樹間の清代の交通路を調査し、河川の渡河地点の設定が交通路の重要な分岐となったことを確認した。以上は、論文としての公表を予定している。これに関連して、チベットとモンゴルの結びつきを象徴する「熬茶」と呼ばれる宗教的活動に関する著書の、呂文利著『嵌入式互動――清代蒙古入蔵熬茶研究』(内蒙古大学出版社、2017年)の書評を『満族史研究』18号に執筆した。 さらに、前年度の口頭発表を整理し、乾隆帝が仏教にとどまらず在来の信仰を含めてチベット文化を受容していたことについて、『チベット文学と映画制作の現在SERNYA』7号に「チベットの呪いと乾隆帝」として掲載予定である。 また、「満文朱批奏摺」の調査・収集を継続し、アムドにおける牧畜社会の流動性と清朝支配との関係について論文の公表を予定している。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(3 results)