2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17J01593
|
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
岩淵 重広 同志社大学, 法学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
|
Keywords | 民事法学 / 会社法 / 対第三者責任 / 倒産局面にある会社の取締役の義務 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、倒産局面にある会社の取締役に対する規律が、どのような目的を達成するために必要とされるべきなのか、そしてその目的の達成の手段として取締役に対する責任追及制度の利用は適切なのかを検討するものである。 本年度は、主として、①わが国における第三者責任の意義の変遷と、②イギリス法における不当取引(倒産した会社の不適切な事業継続を理由とする責任追及制度)の近時の展開に関する検討を行った。 わが国では、会社の倒産によって損害を被った債権者は、対第三者責任を利用して、会社の取締役に対して責任追及を行うことがあった。①では、このような対第三者責任の利用が、どのような背景事情のもとでなされるようになったかを検討し、次のような結論を得た。すなわち、対第三者責任の上記のような利用は、かつての企業の倒産処理の実態を背景になされたものであり、その限りでそのような利用も正当化しうる。しかし、今日では倒産処理の実態はかつてとは異なり、債権者個人への救済を認める対第三者責任の利用の正当化がもはや困難であるというものである。 次に、対第三者責任以外の倒産局面にある会社の取締役に対する規律方法についての示唆を得るために、近時の不当取引の判例の展開を中心に検討した(検討②)。不当取引は、会社倒産によって債権者個々が被る損失を救済する規律ではなく、会社の不適切な事業継続を防止する規律であるが、②によって、取締役の負う損害賠償の額等の要件の解釈が、その目的に沿う形でなれていることが分かった。例えば、一定時点以降の不適切な事業継続によって増加した債務の額を賠償額とすることや、会社の計算書類が作成されていない場合に取締役に不利な算定を行うことで、計算書類の適正な作成のインセンティブを取締役へ与えているようであること等である。 以上の成果については、本年度に執筆した博士論文の内容の一部として反映させた。
|
Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
|