2018 Fiscal Year Annual Research Report
18世紀バスクの経済的自立性――北大西洋貿易圏における商業ネットワーク
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17J01614
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高垣 里衣 大阪大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | バスク / ビルバオ / ニューイングランド / アメリカ / 商業史 / 18世紀 / 経済史 / 西洋史 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 本年度は、前半は日本にて研究を行い、9月からはバスク大学経済経営学部において研究を行った(2019年8月まで滞在予定)。 2. まず、2018年4月には、若手研究者向けセミナー「Political Economies of International Commerce (国際商業における政治と経済)」において、ビルバオの商人であったガルドキ家のヨーロッパとアメリカを含めた貿易活動ついて報告した。 3. 5月には英国キングス・カレッジ・ロンドンで行われた院生向けのKCL World History Student Conferenceにおいて、ビルバオとイギリス各港との貿易関係について報告した。 4. 同じく5月には、昨年度に行ったアメリカ合衆国での調査(2017年9月-10月、ボストン・ビバリー)の結果をもとにして、社会経済史学会全国大会にて報告を行った。ここでは、七年戦争期(1756-1765年)においても、ビルバオとニューイングランドの貿易はそれぞれの商人にとって互いに経済合理性に適ったものであったことを強調した。 5. 8月には米国ボストンで行われた世界経済史家会議にてポスター報告を行い、ビルバオ=ニューイングランド間の貿易が、ただの経済関係ではなく、アメリカ独立戦争期には外交的要素を持ちうることを示した。 6. 9月からは、バスク大学経済経営学部のXabier Lamikiz氏を受入教員とし、文書館での史料・文献調査を行った。これにより、研究対象の時期を18世紀後半全体へと広げることができるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. 初年度よりビルバオ側とアメリカ側の貿易史料を組み合わせたmulti-archivalな研究を目指してきたが、本年度までに1756-1765年の期間の史料収集・考察、学会報告を行った。 2. 計画通りバスク大学での研究期間を利用して、既に1800年までの史料を収集した。これは、18世紀後半のビルバオの貿易状況を詳細に追うことができる成果であるだけでなく、2019年度に予定しているアメリカ合衆国での史料調査の基盤となった。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 引き続き2019年8月までは、バスク大学経済経営学部に客員研究員として滞在し、ビルバオとスペイン側の史料・文献調査を進める。 2. 初年度より研究の念頭に置いてきた、「大西洋での商業的関わりにおける18世紀後半のビルバオとニューイングランド(あるいはアメリカ東海岸都市)貿易の位置付け」を考える。このため、ニューイングランド側の貿易史料を、同じく18世紀末まで入手する必要があり、2019年度はフィリップス図書館(マサチューセッツ州ロウリー)、マサチューセッツ歴史協会(ボストン)において史料収集を行う。
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Research Products
(5 results)