2020 Fiscal Year Annual Research Report
プラジュニャーカラグプタによる唯識論証とその思想史的意義
Project/Area Number |
17J01671
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
三代 舞 東京学芸大学, 教育学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2021-03-31
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Keywords | プラジュニャーカラグプタ / 『知識論評釈荘厳』 / 有形象認識論 / クマーリラ / 『シュローカ・ヴァールッティカ』 |
Outline of Annual Research Achievements |
ダルマキールティ著『知識論評釈』知覚章の367偈から424偈に対する,プラジュニャーカラグプタ著『知識論評釈荘厳』について,既刊のサンスクリットテキストと2本の写本の校合,『知識論評釈荘厳』本文およびジャヤンタやヤマーリによる註釈のチベット語訳諸版の校合といった,文献学的な基礎作業を継続して行った.特に391偈から400偈に対する註釈部分の解読を行い,訳註を作成した.当該箇所では主に,外界対象の実在を想定しない唯識説において,因果関係やそれに基づく推理がどのように成り立つのか,という問題が論じられている.外界対象を想定しない唯識説では,特定の対象の認識が特定のタイミングで生じることを説明することが困難となり,この問題意識は,ダルマキールティ以前の唯識思想家においても広く共有されている.『知識論評釈』の当該箇所に見られる議論は,仏教論理学派独自の発展的唯識思想ともいえる.本箇所の『知識論評釈荘厳』については,小林久泰氏による概説的な先行研究(Hisayasu Kobayashi, “Prajnakaragupta on Inference.” Journal of Indian and Buddhist Studies 58(3), 2010)があるが,その内容を再検討し,さらに詳細な訳註研究を作成した. また,昨年度解読した『知識論評釈』381偈から390偈に対する『知識論評釈荘厳』では,知の有形象性を否定する対論者に対して,知の有形象性の妥当性が論じられていた.そこで,プラジュニャーカラグプタがミーマーンサー学派のクマーリラを対論者の一人として明確に意識していたことが解読の結果明らかになったため,さらに,クマーリラの『シュローカ・ヴァールッティカ』のシューニヤ・ヴァーダ章の関連箇所との詳細な比較検討を行った. 以上の内容の一部は,学会発表および論文として公表されている.
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)