2017 Fiscal Year Annual Research Report
越冬期と気候は重要か?林齢と混交率が鳥類群集に及ぼす影響の1年を通した広域的検証
Project/Area Number |
17J01767
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
河村 和洋 北海道大学, 農学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 森林管理 / 生物多様性 / 越冬期 / 積雪 / 気温 / 景観構造 / トドマツ / カラマツ |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、生物多様性が様々な脅威にさらされており、生物多様性を広域的に保全することは喫緊の課題である。しかし、特定の地域で行われてきた既存の保全研究は、気候などの地域によって異なる環境を考慮しておらず、広域的な適用が困難であった。また、越冬期の生物分布を扱う研究は非常に少なかった。そこで、本研究では、北海道のトドマツ、カラマツ人工林と天然林を対象とし、繁殖期と越冬期の鳥類分布を調べることで、林業活動と鳥類保全の両立に向けて、各地域にあった森林管理方法を提言する。
平成29年度は、調査地の選択と越冬期の鳥類調査を行った。まず、気候(繁殖期・越冬期の気温、積雪深)の異なる6地域を北海道全域から選んだ。各地域において、トドマツ人工林5地点、カラマツ人工林5地点、天然林1地点を調査地として選択した(調査地点の総数:66)。この際、林齢、広葉樹混交率、周囲の森林面積が異なるさまざまな人工林を調査地点とした。また、各環境要因の影響を調べることができるように、環境要因間の相関を小さく抑えながら調査地点を選択した。鳥類の越冬期である12月中旬から2月中旬にかけて、鳥類の分布調査を行った。各調査地点に設置した300 mの調査ライン上を時速900 mで歩き、調査ラインの両側50 m以内で鳴き声や姿を確認した鳥の種類と個体数、出現した位置を記録した。各調査地点において、越冬期の前半と後半に1回ずつ(計2回)調査を行った。また、鳥類調査とあわせて環境調査も実施し、各調査地点の広葉樹混交率と積雪深を計測した。調査により、延べ28種、3878個体の鳥類を確認した。
来年度のデータを取得した後に実施する本解析に向け、一般化線形モデルを用いて、越冬期の気温、積雪深、林相(トドマツ、カラマツ)、林齢、広葉樹混交率、周囲の森林面積が鳥類群集に与える影響の予備解析を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度は、繁殖期と越冬期の鳥類調査を行う計画であったが、調査地の決定に時間を要したため、繁殖期の調査は見送り、越冬期の調査のみを行ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は繁殖期の1年目の鳥類調査と越冬期の2年目の鳥類調査を行う。その間に本解析に向けて、越冬期と繁殖期の鳥類データの予備解析を実施する。
すでに調査地点を選択していることから、来年度の繁殖期(5~7月)に調査を追加することで、申請課題を確実に遂行できる予定である。
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