2019 Fiscal Year Annual Research Report
大型液体シンチレータ検出器でのマヨラナニュートリノ発見に向けた研究開発
Project/Area Number |
17J01788
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
尾﨑 秀義 東北大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
|
Keywords | ニュートリノレス二重ベータ崩壊 / マヨラナニュートリノ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,昨年度より観測開始をしたXe136を用いたニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊探索実験KamLAND-Zen 800のデータ解析を主要な研究課題として研究を進めた. 昨年度の蒸留純化のおかげで,トリウム系列由来で主要な背景事象となるBi212-Po212の連続崩壊がパイルアップして検出される事象を,目標基準以下とすることに成功したことを解析で示した. また,宇宙線ミューオンの原子核破砕事象を作る際にハドロン・電磁シャワーを伴うが,このシャワーを用いた解析手法で,前身実験であるKamLAND-Zen 400で主要な背景事象とされていたC10の崩壊の強力な除去を達成した. 背景事象を解析により徹底的に除去することで,これまで寄与が小さいと思われていた,宇宙線によるXe原子核破砕でできる不安定核の崩壊が主要な背景事象となることが判明した.このXe原子核破砕でできる不安定核は,半減期が数分から日単位を超えるものまであり,生成原因となった宇宙線ミューオンとの相関付けが容易でないと考えられた.しかし,中性子過剰核を破砕する事実から生成の際に中性子を複数個発生させる事実を用いた相関付けが解析での効率的な除去に使用できることを見出した. KamLAND-Zen 800は,二重ベータ崩壊核を倍増しただけでなく,初年度の極低放射能ミニバルーンの作成,昨年度のトリウムの蒸留純化,本年度の解析手法の改善により背景事象を大きく削減することで,他の競合実験と比較しても世界最高感度の実験となった. 新たな研究指針として,ガンマ線を伴う崩壊が多くを占めるXe136の原子核破砕由来の背景事象を粒子識別などで除去するための開発を行うことで,KamLAND-Zen 800での更なる感度向上や次期計画KamLAND2-Zenでの高感度探索が可能であることを見出した.
|
Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(3 results)