2018 Fiscal Year Annual Research Report
A Study on Low Fee Private Schools under Free Primary Education Policy in Uganda
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17J01887
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
坂上 勝基 大阪大学, 人間科学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 教育経済学 / アフリカ / 初等教育 / 教育行政 / 教育の公正 / 私立学校 / 官民連携 / ウガンダ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ウガンダ農村部の低学費私立学校が初等教育無償化政策下で果たしている役割に関連し、低学費私立学校による初等教育提供がさかんな地域の文脈・背景、親・保護者が子どもの就学先として低学費私立学校を選択する経済的・非経済的要因、低学費私立学校と公立学校の教育の質と費用効果の違いを明らかにすることである。調査を予定していた県のひとつに大量の数の南スーダン難民が流入し世界的注目を集めていることから、1年目から難民の子どもが通う私立学校や周辺の公立学校を対象に含めた研究を遂行してきた。 当該年度(2年目)はまず、1年目の第一回現地調査で収集したデータの分析を引き続き行い、教育の需要側の視点に関係する研究成果をまとめた論文が、国内ジャーナルに掲載された。また第二回現地調査(9~10月)を、マケレレ大学の研究者と国際NGOの協力を得て実施した。この中では調査対象県の教育事務所の担当官や私立学校を運営する国際NGOの教育担当者へのインタビューを行うとともに、第一回現地調査で対象とした初等・中等学校と新たに抽出した周辺の公立・私立初等学校を訪問し、校長や教員、親・保護者、児童・生徒への半構造化インタビューと調査票調査を実施した。本調査の暫定的結果に基づく研究成果は、国内の研究会で共有し、査読付きの国際学会での発表にも採択されている。 さらに、公立・私立学校間の教育の質の違いに関する学力テストのデータを用いた分析を継続しており、固定効果モデルによる分析結果の発表を国内の研究会で行った。くわえて、第二回現地調査時には、調査対象県の位置する地域で収集された新たな学力テストのデータの利用許可を得ることができた。1年目から実施してきた定性的分析の結果を加味して立てられた仮説を検証することを目的に、本データを使った教育の質に関する定量的分析も行い、暫定的分析結果に基づく発表を国内の研究会で行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一回現地調査に基づく新たな研究成果を、雑誌論文としてまとめることができた。さらに第二回現地調査を予定通り実施し、研究成果を国外の学会で発表することが確定している。また、新たに取得した2次データの定量的分析を行い、これに基づく研究成果を国内の研究会で発表することができた。 研究対象地域への南スーダン難民流入にともない、当初はウガンダの低学費私立学校全般の研究で用いることを計画していた枠組みを適用し、難民の子どもが通う私立学校や周辺の公立学校を対象に含めた研究を遂行し、成果を発表してきた。2次データによる分析が中心となっているが、低学費私立学校の選択に影響する要因に関する研究成果はこれまでにとりまとめ、公立学校との間での教育の質の違いに関する研究においても進展がみられる。
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Strategy for Future Research Activity |
3年間の採用期間の3年度目となる次年度は、現在進めている国際学力テストの2次データを用いた分析を精緻化し、国内外の学会で発表するとともに、論文執筆に傾注する。また、第一回・第二回現地調査で収集した1次データを用いた研究成果に基づいてインタビューガイドや調査票を修正し、これまでの研究成果のフィードバックもかねた第三回現地調査を実施する。本現地調査結果の分析とともに、最終年度として、全体の成果を意識した研究の取りまとめを行う。
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Research Products
(9 results)