2017 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質化学修飾に基づくサブタイプ選択的PPIアゴニストの創出
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17J01991
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
糠塚 祐希 東北大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | タンパク質間相互作用 / ジャスモン酸応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、植物の免疫・防御応答に深く関与するジャスモン酸応答の人為的制御を目的とした研究を行ってきた。 COI1-JAZ複合体の結晶構造はCOI1-JAZ1の一種類のみしか報告例がなく、合理的にアゴニストを設計するには、他のJAZの構造情報が必要であった。そこで申請者は、JAZ1の構造を鋳型にしたホモロジーモデリングとMDシミュレーションを行うことで、全12種類のCOI1-JAZ複合体の構造予測を行った。このin silicoでの検討から、各COI1-JAZ複合体が形成するリガンド結合ポケットのサイズの違いや、各JAZがどのような反応性アミノ酸をリガンド結合ポケット内部に有するのかを明らかにした。加えて、in silico Docking 計算でJAZ選択性を評価できないか検討したが、Dockingシミュレーションは、in vitroでの実験結果を十分に再現できず、in silicoで直接アゴニスト分子をスクリーニングすることは困難であることが判明した。これは、本研究で扱っているCOI1-JAZ複合体型受容体が、COI1、JAZ、リガンドの三者が同時にそろった状況でのみ複合体形成をするという、一般的なリガンド-受容体の二者と比較して複雑な系であるためだと考えられる。 申請者は、構造情報を基に、各JAZを選択的に化学修飾するために、JA-Ileの構造ミミックであり、JA-Ileの100倍以上の活性を有する天然物コロナチンを基に、反応性官能基を分子内に導入した反応基組み込み型ラベル化剤を多数設計した。これらの分子のうち、10種類程度について、合成検討を完了しており、コロナチンの立体構造から、反応性官能基の導入に適した部位や、適さない部位について明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COI1-JAZ複合体の計算化学を用いた構造予測から、合理的な分子設計が可能な段階になった。しかしタンパク質間相互作用を目的通りに制御する化合物の創出にはいまだ至ってはいないため、総合的にかんがみて、おおむね順調であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までで構築した構造予測モデルを基に、化合物の設計とその合成を進め、目的とする化合物を得る。化合物が得られ次第、in vitroから植物個体を用いたアッセイを展開する。
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Research Products
(5 results)