2018 Fiscal Year Annual Research Report
強磁場環境下における超高強度レーザーと高エネルギー密度プラズマとの相互作用の物理
Project/Area Number |
17J02020
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
畑 昌育 大阪大学, レーザー科学研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | キロテスラ磁場 / 超高強度レーザー / ホイッスラー波 / 電磁粒子シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,実験室においてまだ実現できていない数十キロテスラ程度の磁場下における超高強度レーザーと高エネルギー密度プラズマとの相互作用について多次元電磁粒子コードによるシミュレーション解析を実施した. 数十キロテスラという非常に強い磁場下では,波長1ミクロンのレーザーの周波数よりもサイクロトロン周波数が大きくなり,レーザー場の右回り円偏光成分はホイッスラー波としてプラズマ中を伝播する.冷たいプラズマモデルの線形理論によれば,ホイッスラー波にはカットオフがなく,高密度プラズマ中を透過する.しかしながら,これは冷たいプラズマモデルの線形理論が前提であるため,運動論的な効果や相対論的な効果も考慮する必要のある本研究では,異なる振る舞いを示す可能性があるため,二次元相対論的電磁粒子コードによるシミュレーション解析を行った. その結果,高密度領域に伝播できるホイッスラー波はパルスの先頭部分のみであり,後続のパルスは高密度領域に伝播できなくなることがわかった.さらに,この原因が,イオン音波の急激な成長であることを突き止め,イオン音波が十分に成長するとホイッスラー波の誘導ブリルアン散乱が起こり,後続のホイッスラー波が高密度プラズマ中に侵入できなくなり反射されることを明らかにした.この発見は線形理論では予想されていなかった結果であり,本現象を理解することは,超高強度ホイッスラー波の高密度領域伝播条件の導出に繋がり,核融合学だけではなく宇宙プラズマの理解にも資するものである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
想定とは異なる結果が出たために,計画通りの進展はしていないが,より詳細なシミュレーション・解析を行うことで,一つのテーマについて深く研究を行うことができている.したがって,研究の進捗としては順調に進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
現状取り組んでいる研究テーマである”数十キロテスラ程度の磁場下における超高強度レーザーと高エネルギー密度プラズマとの相互作用”では,非常に面白い結果がでており,より深く調べることが重要かつ急務であるため,最終年度はこのテーマに引き続き注力し,論文等での成果発表に繋げる予定である. したがって,当初計画通りに研究を進めることはできないため,研究計画を変更して最終年度の研究を進める.
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