2017 Fiscal Year Annual Research Report
地震波干渉法解析に基く、地震波速度変化の応力感度特性の解明
Project/Area Number |
17J02025
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
髙野 智也 東北大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 地震波速度変化 / 地震波干渉法 / 地球潮汐 / 地震波速度変化の応力感度 / アレイ解析 / 火山性地殻変動 / 地殻不均質構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず,地震波干渉法を用いて応力変化による地震波速度変化の深さ依存性について調べた.伊豆大島で観測された雑微動の相互相関関数の位相差から1日ごとに地震波速度変化を推定したところ,地震波速度は約1年周期で-1%から3%まで変動することがわかった.島内のGNSS観測点の変位記録から面積歪み変化を計算し地震波速度変化と比較したところ,両者は相関性があり膨張時に速度減少,収縮時に速度増加が観測された.面積歪み変化と速度変化の相関性から,異なる周波数帯域において地震波速度変化の応力感度を推定したところ,深部を伝播する波では封圧の影響で応力感度が小さくなることがわかった.本研究の成果は国内外の学会で発表を行い,国際学会誌に掲載された. また,今年度は相互相関関数の波動場特性と地震波速度変化の応力感度に関する研究も行った.伊豆大島に設置された地震観測網と地震計アレイで観測された雑微動の相互相関関数を計算し,経過時間ごとの相関関数の波動場特性を調べながら,地球潮汐による地震波速度変化を推定した.直逹波部分に当たる経過時間2秒から7秒までの相関関数を用いたところ,潮汐によって膨張時に速度減少,収縮時に速度増加することがわかった.しかしながら,速度変化の応力感度は経過時間とともに減少することを観測した.雑微動の相関関数に対してアレイ解析から,相互相関関数の直逹部はレイリー波で構成されていて,後続部には散乱もしくは反射した実体波が混入している可能性が高い.したがって,相関関数の後続部では,地下構造の深部を伝播する実体波が含まれるために,速度変化の応力感度が低下すると推察した.この研究成果は国内外の学会で発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
地震波干渉法を用いて伊豆大島において地震波速度変化の応力感度特性について調べ,速度変化の応力感度の深さ依存性や経過時間依存性について議論することができた.地震波速度変化の深さ依存性の研究成果に関しては,国際学会誌に論文を投稿し受理された.
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Strategy for Future Research Activity |
まず,伊豆大島における地球潮汐による地震波速度変化に関する論文を投稿する.また,平成30年度は4月1日から10月上旬までフランスのグルノーブル大学に滞在する予定である.この期間中は,グルノーブル大学がPiton de la Fournaise火山に設置していた地震計アレイの連続記録を利用して,地殻変動による地震波速度変化と地震波の伝播方位の関係性について調べる予定である.
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Research Products
(7 results)