2017 Fiscal Year Annual Research Report
Direction observation of nonequilibrium spins in the quantum Hall system by exciton microscopy
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17J02035
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
Moore John 東北大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | スカーミオン / 量子ホール効果 / トポロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
量子ホール液体の占有率が1付近になる時に起こる、二つの磁気秩序の電子スピン相間の一次相転移を断定的に観測した。この未報告の相転移は二次元電子系の化学ポテンシャルを変える時に起こり、スカーミオンという準粒子の密度が異なる二つの相の間の転移である。相転移の存在の証拠は、二つの相の共在している磁区の実空間イメージングとその磁区の長距離秩序とヒステリシスの観測から裏付けられる。相転移を通って核スピンの縦緩和時間T1を顕微的に測定し、相転移と同時にT1が急峻な変化を生じる結果を得た。これにより、本相転移は文献が以前に特定した相の間の相転移だと結論した。その一つの相は、局在化されたスカーミオンまたはアンチスカーミオンが希薄に存在して、部分的に偏極されている相である。もう一つの相は、スカーミオンが濃密な相である。 相転移が起こる化学ポテンシャルは温度の上昇によって大きに減少することも観測した。また、外磁場に対して二次元電子系を傾けることによってゼーマンエネルギーを増加させる時に、相転移はより高い化学ポテンシャルに移動することを観測した。この結果から、相転移はゼーマンエネルギーに相当する状態密度のエネルギーギャップと関係していることを結論付けた。以上の成果を報告する論文を現在執筆中である。 量子ホールブレークダウン効果による核スピン偏極の顕微光検出を散々試みたが、検出できなかった。その理由は、核スピン偏極度が我々の光検出法の感度より弱すぎたためだと考えられる。従って本スピン研究で、核スピン偏極を伴う現象の実験にはブレークダウン効果は非実用的な方法だと考えている。スカーミオン研究において新しいT1測定法を工夫した。 以上に加えて、ミリケルビン温度においての時間分解したカー回転の検出が可能な実験装置を開発した。セットアップの設計を完成し、素子の大半を購入し、 組み立て始めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
年次計画より量子ホールスカーミオンの研究は2,3ヵ月遅れた。その理由は、面白くて有意義な成果をさらに得られる実験を考え出して行ったからである。ゼーマンエネルギーを増加させるために垂直磁場に対して二次元電子系を傾けてスカーミオン相転移はどう反応するか観測する実験であった。その実験は大成功であり、このために計画を遅らせる価値はとてもあったと思っている。
また、カー回転による量子ホールエッジチャネルのコヒーレンス時間の測定はこれから遅れそうである。なぜなら、この研究に必要な冷凍機が故障しており、修理が可能であるか分からない状態である。修理は可能な場合でも、一年間ほどかかる。新しい冷凍機を設計している途中であるが、完了するまでは数か月間かかる。
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Strategy for Future Research Activity |
①スカーミオン研究の成果を報告する論文を投稿する。
②1.5ケルビンまで冷える新しい冷凍機の設計と作製を他の学生と一緒に行う。
③新しい冷凍機を完了する前に、光ファイバを利用するカー回転検出装置を室温で開発する。そのために、まず装置に必要な光学素子を購入する。
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