2018 Fiscal Year Annual Research Report
星間分子雲の内部構造と形成過程を探る新しい観測手段の開拓
Project/Area Number |
17J02168
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
海老澤 勇治 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 星間分子雲 / OH 18cm線 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、中性炭素原子輝線, 一酸化炭素分子の回転遷移およびOH分子の18 cm線を総合的に解釈することで、分子雲形成の新しい観測手法を開拓する。特に、OH 18 cm線は分子雲の物理状況を反映し、異なる強度異常を示すことが知られている。これまでの私の研究で、OH 18 cm線(1612, 1665, 1667, 1720 MHz)の1612 MHz線の吸収線は、温かい(>40 K)希薄なガスをトレースすることを示した。本研究では、いくつかの分子雲におけるOH 18 cm線の高感度観測結果を独自の数値計算によって解析し、新たに(1)1720 MHzの吸収線, (2)1665, 1667 MHzの吸収線の起源の解明に取り組んだ。 まず、おうし座の分子雲にある直線構造では、1720 MHz線が宇宙背景放射に対する吸収線として検出された。計算の結果、吸収線は星間塵の遠赤外線放射が主な原因であることがわかった。さらに、吸収線は柱密度が高く、温度が低い(< 30 K)領域を反映していることがわかった。これは、分子雲コアが形成されるような高密度低温領域と、周囲の温かい希薄なガスの中間の領域だと考えられる。 また、Pipe Nebulaに対してOHの観測を行った。この天体は2つの直線構造を持ち、これらが衝突していると考えられている。観測の結果、直線同士が交わる領域において、1665, 1667 MHzの吸収線が検出された。計算の結果、この吸収線は温度が高い(> 80 K)場合に現れ得ることがわかった。これは、衝突による加熱を反映している可能性がある。 以上のように、OH 18 cm線は温度に応じて異なる強度異常を示すことがわかった。この温度計としての性質に着目することで、OH 18 cm線はFASTやSKAなど、次世代の電波望遠鏡・干渉計を用いた新しい分子雲形成の研究手法になると期待される。
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Research Progress Status |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)