2017 Fiscal Year Annual Research Report
架線フリー化に向けた鉄道用超電導ワイヤレス電力伝送への挑戦
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17J02242
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井上 良太 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 非接触給電 / 高温超電導コイル / 交流損失 / 渦電流損 / 磁化損失 / kHz帯 |
Outline of Annual Research Achievements |
高温超電導コイルは,交流通電時,交流損失に伴う発熱が生じることから,非接触給電システムの電力伝送効率に影響を及ぼす可能性がある。したがって,高温超電導コイルの低損失化が求められている。一般的に高温超電導コイルの交流損失は,線材の構造上,テープ線材に対して垂直方向成分の磁場による交流損失が支配的となる。そのため,高温超電導コイルの低損失化に向け,kHz帯における高温超電導線材の垂直磁場に伴う交流損失特性を明確化する必要がある。そこで本年度は,高温超電導線材の幅広面に対して磁場が垂直方向に印加された場合における交流損失について検討した。具体的には,外部磁場印加用コイル内に高温超電導線材を設置し,ピックアップコイルおよび位相検出用のサーチコイルを用いて交流損失の測定を行った。また,有限要素法に基づく電磁界解析を用いて,kHz帯の外部磁場に対する高温超電導層内部の電流密度分布および母材の渦電流分布,また高温超電導線材で発生する全損失について評価した。以上の結果から高温超電導線材の幅広面に対して磁場が垂直方向に印加された場合,銅層の渦電流損が増加することから,10 kHz付近における高温超電導線材の全損失は,低周波領域に比べ,わずかに上昇するものの,周波数に対してほぼ一定であると近似できることがわかった。また,次年度に向けた高温超電導コイルを用いた非接触給電システムに適した回路構成についての基礎的検討を行い,電力伝送効率を上げるため,高温超電導コイルの更なる低交流損失化が重要であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究目標であった,①kHz帯(10 kHz程度)における高温超電導線材で発生する交流損失(通電損失,磁化損失)の周波数依存性および通電電流依存性の明確化,②有限要素法に基づく電磁界解析を用いたkHz帯の外部磁場に対する高温超電導層内部の電流密度分布および母材の渦電流分布や高温超電導線材で発生する全損失の明確化,③次年度に向けた高温超電導コイルを用いた非接触給電システムの回路構成についての基礎的検討,を達成した。また,高温超電導コイルの交流損失に関する情報収集のため,国際会議や国内会議に参加し,論文や研究会資料の収集などを行った。なお,本年度の研究成果は,学術論文および国内学会において報告している。以上より,本年度の進展は順調であったと評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究成果より,10 kHz付近における高温超電導線材の全損失は,周波数に対してほぼ一定であると近似できることがわかった。また,電力伝送効率を上げるため,更なる高温超電導コイルの低交流損失化が必要となることがわかった。そのため今後は,有限要素法を用いた数値解析や実験により低交流損失となるコイル形状を検討した上で,高温超電導コイルに適した非接触給電の伝送方式について検討する予定である。
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Research Products
(3 results)