2018 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis and Visualization of Behavior Using Trajectories of Walking People
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17J02298
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
宮城 優里 お茶の水女子大学, 人間文化創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 可視化 / 歩行者動線 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は人の行動を表す動線の効率的な分析と直感的な可視化を実現することである.第2年度は,主に以下の項目を目標とした. 1.ポスターセッション中の歩行者の行動の可視化 2.徘徊行動検出手法の改良 1に関しては,2018年の春から夏にかけて,我々が2017年に計測したポスターセッション中の参加者の歩行者動線データを提案手法によって可視化した.その結果,「両脇にポスターが設置された通路内の蛇行」「特定のポスター周辺での一定時間以上の立ち止まり」「ポスターから離れた会場の端での立ち止まり」などの特徴的な行動を分類できた.以上の結果については2018年9月の第46回可視化情報シンポジウムで口頭発表を行ない,ベストプレゼンテーション賞の1枠を受賞できた. 2に関しては,当初の計画から変更し2017年度に実装を開始した視線可視化手法の改良に取り組んだ.行動のパターンをN-gramで検出した結果を一覧表示し,検出されたパターンの中でユーザが注目したパターンの形状を力指向グラフによって可視化する手法を実装した.以上の提案手法を,ウェブページやポスターなどの静止画像を観察した際に取得した視線軌跡データに適用し「長いテキストを読んでいる途中には,関連する図に視線が推移する」「下から上に辿って見ることを想定された一連の図に対しても,一般的なレイアウトと同様に上から下に視線を動かして観察する」「イラスト等を明確に接続する矢印について,直進的で短い矢印には従うが,途中で曲がるような長い形状の矢印には従わないことも多い」等の傾向がわかった.これらの結果は,10月のIEEE VIS 2018や3月の第2回ビジュアリゼーションワークショップにてポスター発表を行なった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
歩行者群の行動分析に関しては,定期的に新たな実行結果の生成や研究発表などの機会を持ちある程度の進捗を作ることができたと考えている.まず,当初の計画通りにポスターセッション中の参加者のデータを用いた可視化結果を新たに生成し,「ポスターを探したり,対向者を避けたりしがら蛇行する動き」「特定のポスターの周辺で立ち止まる動き」などの典型的な行動と「ポスター間の通路を停止せず直進する歩行」など例外的な行動の分類ができた.また,これらの結果については9月の第46回可視化情報シンポジウムで発表を行ない,学生プレゼンテーション賞を受賞するなど一定の評価を得ることができた.また,10月のIEEE VISへの参加に先立ってウィーン工科大学への訪問の機会を得ることができ,本研究に対する有益なコメントをいただくことができた. 当初の予定からの変更点として,上記の人流分析と並行して進める研究を徘徊検出の研究から,2017年度に始動した視線分析と可視化の研究に変更し,動線データと可視化手法の改良をさらに進めることとなった.これらの実装は海外との共同研究であったが,10月の国際会議IEEE VISでの発表や,ドイツの共著者とのミーティングを重ね,連携しながら研究を進めることができた.反省点として,この視線分析の研究の実装や論文投稿に時間を割いた結果,人流分析の研究に関して立てていた目標の一部に到達できなかった.しかし,これらの手法は今後歩行者動線データの分析にも応用できる可能性が高く,次年度で実装を進める予定である.そのため,進捗の一つとしてとらえることができると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
第3年度では,DC1の研究課題である歩行者動線の分析手法に,関連研究として取り組んできた視線軌跡可視化手法を応用し,より詳細な歩行者行動の分析と可視化を試みる. まず夏期前半までに,視線軌跡可視化手法の研究のまとめとして,筆者らが昨年度実装した可視化システムを用いたユーザテストを行ない,評価結果を考察する.手順としては,Webページの一部やポスターなど数種類の異なる画像を被験者に観察させた際の視線軌跡データを,既存の手法と提案手法のそれぞれで分析・可視化し結果を比較する.例えば「特定の行動を発見するにはどの可視化手法が有効か」「どの可視化手法が操作しやすいか」などの項目で評価し,提案手法が視線軌跡データからの特徴的な動きの発見と直感的な可視化に有効であることを示す. 視線軌跡の研究を完了次第,この手法を歩行者動線データの可視化に応用し,より効率的な分析や詳細な可視化を実現する.応用する処理は,主に軌跡データの記号列化と分析に関する処理,及びこれらの分析結果にもとづいた軌跡の可視化手法である.記号列化と分析に関する処理では,まずユーザが指定する歩行エリアの区分に基づいて歩行軌跡を記号列化する.これらの記号列に対してN-gramによるパターン分析を行ない,どのエリアを組み合わせて歩行するパターンが存在したのかを集計する.可視化の手法はパターンの集計結果を表す棒グラフと,個別のパターンの形状の描画を連携させるものである.これを歩行者動線データに適用することで,頻出した行動パターンや,各パターンが表す具体的な動きを明示できる.このような視線軌跡可視化手法からの応用に加えて,新たに時間経過による行動の変化に関する分析,集団行動の可視化,歩行者の状態を表すラベル情報の表示などにも取り組み,歩行者の行動に関するより多面的な情報の可視化を試みたい.
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Research Products
(5 results)