2019 Fiscal Year Annual Research Report
生殖巣の食品学的品質改善 磯焼けのウニを高級食材へ
Project/Area Number |
17J02308
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
髙木 聖実 東北大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | キタムラサキウニ / 生殖巣 / 味 / アラニン / グルタミン酸 / アラメ |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究から、生鮮のマコンブ葉状部基部あるいはワカメ胞子葉を与えたキタムラサキウニの生殖巣の品質は著しく改善されることを明らかにした。東北地方太平洋沿岸のウニの主要な漁場はアラメ群落である。アラメを与えたウニの生殖巣の品質をマコンブとワカメの同藻体部位を与えたものと比較したところ、アラメを与えると味が弱く、ウニ特有の味に乏しくなること、および成熟が促進されることなど新たな知見が得られた。また、生鮮マコンブ葉状部とワカメ胞子葉のアミノ酸組成の変化から、食物中のグルタミン酸あるいはアラニンが多いと、それを摂食したウニの生殖巣のアラニンが増加するとの仮説を導いた。そこで、5~7月の約2カ月間、グルタミン酸、アラニン、アスパラギン酸、グリシンをそれぞれ添加した飼料とアミノ酸無添加飼料をウニに与える育成試験を実施した。生殖巣のアラニン含有量はアラニン処理群で有意に増加し、アスパラギン酸、グリシン、無添加処理群より有意に多かった。また、グルタミン酸処理群でも増加傾向がみられ、アラニン処理群と有意差はなかったことから、食物中のアラニンおよびグルタミン酸が多いと生殖巣のアラニン含有量が増加することを立証した。アラニン処理群の方がグルタミン酸処理群より多い傾向がみられたことから、生殖巣のアラニンは食物中のグルタミン酸から合成されるよりも、食物中のアラニンの直接的な蓄積によってより増加すると示唆された。本研究により、ウニ生殖巣の味を改善する食物成分としてアラニンとグルタミン酸を初めて特定できた。今後、アラニンとグルタミン酸の食物中の含有量、ウニ体内での消化吸収量ならびに生殖巣へのアラニン蓄積量の関係を明らかにして、品質全体を改善できる食物の至適成分組成の指標を作成できれば、蓄養による磯焼け域のウニの利用をさらに拡大できると考える。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(7 results)