2018 Fiscal Year Annual Research Report
海面加熱に対する海洋表層応答過程の解明による夏季海面水温場形成・変動の理解
Project/Area Number |
17J02314
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山口 凌平 東北大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 季節躍層 / エネルギー収支解析 / 鉛直拡散 / 地球温暖化 |
Outline of Annual Research Achievements |
春から夏にかけての海面(混合層)水温上昇をもたらす大気場から海洋に加えられる熱は、暖候期の海洋表層混合層が非常に薄いために、一般に混合層内でその熱収支が閉じず、多くの割合が鉛直拡散等の過程によってより下層へ運ばれる。混合層下に運ばれる熱は下層を上部から温めることで季節的な密度成層を形成するが、近年の観測研究は、それら下層に運ばれる熱が混合層における熱のバランス、すなわち海面(混合層)水温を決める上で重要であることを指摘している。そこで本研究は観測プロファイルに基づき暖候期の海洋表層成層の形成過程を詳細に調べることで、暖候期における海面水温場形成とその変動性を理解することを試みた。 本年度は、前年度に導入し観測データプロダクトよりその有用性を示したポテンシャルエネルギーによる季節成層形成の定量的な記述手法を、より時空間的に高解像度な海洋データ同化プロダクトに適用し、観測データから得られていた結果の妥当性を確認した。それにより、ポテンシャルエネルギー発達の診断における残差項の大部分が鉛直拡散過程によってなされていることが示され、直接的な測定が難しく観測データが少ない混合層の底および季節成層内での鉛直拡散係数の月別気候値を北太平洋全域を対象に算出することができた。見積もられた鉛直拡散係数は春から夏にかけて季節の進行とともに小さくなる季節的な変動性、および、海上風強度に依存した空間的な変動性を有していることがわかった。 歴史的観測プロファイルを用いて表層成層の長期変動性も調べた。その結果、全球の各海域において1960年代以降の有意な成層の強化傾向が検出され、その強化は全球平均では気候値の約6%に相当することがわかった。また、線形トレンドを除去した長期時系列からは、北大西洋、及び熱帯・北太平洋においてそれぞれ海域を代表する気候モードに対応する経年変動性が検出された。
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Research Progress Status |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(8 results)