2018 Fiscal Year Annual Research Report
心血管疾患治療への応用を目指した新たなTrkBアイソフォーム機能の解明
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17J02328
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
大谷 紘資 北里大学, 獣医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 心血管疾患 / 脳由来神経栄養因子(BDNF) / TrkB (NTRK2) |
Outline of Annual Research Achievements |
心血管疾患のヒト及びモデル動物において、brain-derived neurotrophic factor (BDNF)とその受容体であるtyrosine receptor kinase B (TrkB)の発現動態が変化することがこれまでに報告されている。TrkBのアイソフォームとしてはTrkB FL, T1, T2の3つが知られており、これらはそれぞれ異なる細胞機能を持つ。しかし、心血管疾患におけるTrkBアイソフォームごとの発現・機能についてはほとんど検討されていない。これまでに、①ラット腸間膜動脈平滑筋細胞においてTrkB T1遺伝子特異的ノックダウンが血管平滑筋細胞の生存性を低下させること、②正常ラット全身臓器において、すべてのTrkBアイソフォームは概ね脳に限局していること、③正常ラット脳内においてアイソフォームごとに異なる発現分布を示すことを明らかにした。また、④高血圧モデルラット(spontaneously hypertensive rat: SHR)の脳内におけるBDNF-TrkBアイソフォーム発現変化を予備的なデータとして得ていた。そこで、本年度は、この発現変化を週齢(4-15週齢)・部位(大脳皮質、小脳、海馬、視床下部、脳幹)・領域(吻側延髄腹外側野, 尾側延髄腹外側[caudal ventrolateral medulla: CVLM], 孤束核, 視床下部前部[anterior hypothalamic area: AHA])に分けて詳細な解析を行った。その結果、4週齢のSHRで血管運動中枢のある脳幹において、血圧上昇に先立ちTrkB T1およびNADPH oxidase-2の発現が亢進していることが明らかとなった。さらに、5週齢のSHRでCVLMとAHAにおいてTrkB T1タンパク質発現が亢進していた。以上の成果を学会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで精力的に研究を行い、その成果の一部を学会で発表したことからおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの成果を元に今後も精力的に研究を継続し、成果を積極的に公表することを目指す。
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Research Products
(3 results)