2017 Fiscal Year Annual Research Report
マグネシウムイオンに着目した葉緑体チラコイド構造の制御機構の解明
Project/Area Number |
17J02444
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
横山 諒 岡山大学, 資源植物科学研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 葉緑体 / チラコイド / マグネシウム |
Outline of Annual Research Achievements |
植物の葉緑体はチラコイドと呼ばれる膜構造体を有しており、光合成の場として重要な役割をしている。チラコイドは光環境に応じてダイナミックに構造を変化させことが知られている。この構造変化には葉緑体内のマグネシウムイオンの変化が重要であると推測されているが、その決定的な証拠は得られていない。本研究では、光環境による葉緑体内部構造の制御機構をマグネシウムイオンに着目して研究する。蛍光タンパク質MagFRETによる葉緑体内マグネシウムイオン濃度のin vivo測定系を確立し、葉緑体内マグネシウム濃度の改変がチラコイド及び光合成に与える影響を検証する。さらに葉緑体マグネシウム濃度制御に関わる分子の機能解析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
初年度は本研究の要となるMagFRETによる葉緑体内マグネシウム濃度測定系の確立を目指した。シロイヌナズナ内での発現にコドンを最適化したMagFRET配列に対して、HAタグをコードする配列を3`末端側に、ルビスコ小サブユニットRBCS1Aタンパク質の葉緑体移行シグナル部分をコードする配列を5`末端側に融合させた。上記配列を35Sプロモーター下で植物体内に発現させるベクター上に乗せ、シロイヌナズナ野生型Col-0に形質転換した。得られたT1形質転換候補に対して、遺伝子導入の可否をPCRにて確認したのち、MagFRET遺伝子の発現およびMagFRETタンパク質の蓄積をHAタグに対するウェスタンブロットによって確認した。しかし、得られた形質転換候補すべてにおいて、MagFRET-HAタンパク質の検出は認められなかった。葉緑体移行シグナルをRBCS1Aのものから別の葉緑体局在タンパク質(3-Deoxy-D-arabinoheptulosonate 7-phosphate synthase 1; DHS1)のものに置き換えて再度形質転換をしたが、本形質転換体候補でもMagFRET-HAタンパク質の蓄積は検出できなかった。 植物におけるMagFRETを用いたマグネシウムイメージング系は前例がないため、植物体内でMagFRET-HAタンパク質が蓄積されにくい可能性がある。本可能性を検証するため、シロイヌナズナ野生型本葉から単離したプロトプラストへ一過的にMagFRETタンパク質を発現させた。しかし本実験においても、MagFRET由来の蛍光を発する細胞は認められなかった。一方でMagFRET遺伝子は正常に発現していることをPCRにより確認していることから、MagFRETタンパク質は葉緑体内で極めて蓄積しにくいタンパク質であることが推測できる
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Strategy for Future Research Activity |
MagFRETは比較的分子量の大きいタンパク質であることから、細胞質で翻訳されたMagFRETタンパク質が葉緑体内に移行できなかった可能性もある。今後は、他のプロモーターや葉緑体移行シグナルを用いて、まずプロトプラスト内で安定的にMagFRETを蓄積する組み合わせを探る。その後、形質転換を行うことで、安定的に発現する形質転換系統の作出を行い、研究を進めていきたいと考えている。
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Research Products
(1 results)