2018 Fiscal Year Annual Research Report
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17J02472
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
金 俊亨 九州大学, 数理学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 数論的位相幾何学 / 力学系ゼータ関数 / 葉層構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
数論的位相幾何学は数論と3次元位相幾何学、両分野を相互啓発的に研究する分野である。基本的なアイデアは代数体の素イデアルと3次元閉多様体の結び目の間のトポロジカル類似性に基づいている。しかし、素イデアルは最初から与えられて数体の中で離散的に決まっている一方、結び目は多様体の中で連続に存在しているため、全体集合の間には類似性が上手く成り立たない。本研究は多様体上に付加構造(葉層構造、力学系)を構築して既存の結び目との類似を発展させ、数論的位相幾何学を解析的に精密化することを追求する。この場合、付加構造から定まる閉軌道全体の集合を素イデアル全体集合の対応物としてみなす。 以下、葉層構造と力学系が定まった多様体の事をFDS(Foliated dynamical system)と表記する。 (1)FDSの分類 既存のFDSは曲面を3次元にサスペンションしたMapping torusを主な研究対象としていた。しかし、数論的位相幾何学の類似をモチベーションにするためには任意の閉多様体上にFDSを構築する必要がある。この研究課題について3次元多様体のFDSが不動点を持たない場合、大きく三つのタイプ(全ての葉っぱがコンパクトか、稠密な葉っぱを持つか、Open book decomposition)に分類できることを証明した。この研究は森下 昌紀, 野田 健夫, 寺嶋 郁二との共同研究である。この研究成果について共同論文1篇を投稿した。 (2)力学系のゼータ関数のコホモロジー表現 先日、Deninger, Soule, Schroterらはリーマンゼータ関数を非自明な零点のゼータ関数正規化を用いて表現した。本研究は力学系ゼータ関数においての類似である。力学系ゼータ関数を付加構造より定まる作用素とコホモロジー群を用いて表すことを目標としている。成果としては定理がある仮定の上で成り立つことを証明した。現在、もっと一般的な状況でも定理が成り立つことに気づき研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の項に書いたことから明らかなように、本研究計画はたいへん順調かつ着実に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今までの研究を発展させる方向へ研究を遂行する。 (1)FDSの分類 不動点を持つFDSを分類し、既存の研究成果を拡張する。 (2)力学系のゼータ関数のコホモロジー表現 FDSの上で力学系ゼータ関数が常に付加構造より定まる作用素とコホモロジー群を用いて表すことができることを証明する。
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