2018 Fiscal Year Annual Research Report
情報過多と情動がワーキングメモリを介して幼児のソースモニタリングに及ぼす影響
Project/Area Number |
17J02824
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小澤 郁美 広島大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
|
Keywords | ソースモニタリング / ワーキングメモリ / 幼児 |
Outline of Annual Research Achievements |
幼児の目撃証言の信憑性に関わるとされているソースモニタリングに,言語性および視空間性ワーキングメモリがどのような影響を及ぼすか明らかにすることを目的とした研究を実施した。本年度は前年度の課題を修正し,再度両者の関係を明らかにすることを目的とした。 具体的には,パソコンの画面上に3枚の家のイラストが描かれたスライドを提示し,それらの家の中にいくつかの項目が出現した。参加者には項目の数を数えること求めた。言語性の課題ではワーキングメモリ課題としてカウンティングスパンを実施し,刺激の出現個数がどの家のものだったかについて尋ねるソースモニタリング課題を実施した。他方,視空間性の課題ではワーキングメモリ課題として再認課題と刺激の位置と系列を尋ねる課題を実施し、その後各刺激がどの家に出てきたのかを尋ねるソースモニタリング課題を実施した。 ワーキングメモリやソースモニタリング能力と関連すると考えられる,言語能力(語彙力)と月齢を統制した偏相関を算出した結果,言語的なソースモニタリングと言語性ワーキングメモリの項目情報との間に,視空間的なソースモニタリングと視空間性ワーキングメモリの位置情報との間に有意な正の相関が得られた。すなわち,どの家にいくつ出てきたのか、刺激がどの家に出てきたのかを正確に認識しているほど、それらの刺激が出現した情報源である家に関するソース判断が正確になるという事が示唆された。 本研究の成果によって,ソースモニタリングを支える認知プロセスとその発達を解明し,目撃証言の評価や年少児や注意欠如多動児の記憶の誤謬を説明する手がかりとなることが期待される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度の問題点であった課題の不備を改善したことにより,幼児の外部情報のソースモニタリングとワーキングメモリとの関連をより明確にできたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでは,ソースとして設定していた刺激が家というイメージ情報かつ項目情報の特性を持つものであった。そのため,言語の項目情報や視空間の位置情報といったワーキングメモリ課題の情報と関連した可能性がある。したがって,ソースとして設定する刺激や参加者への回答のさせ方を系列的な情報に設定して同様の検討を行う必要があると考えられる。 また,ワーキングメモリがソースモニタリングに関連するメカニズムとして,エピソードバッファが担うバインディング能力が考えられるため,課題実施中のワーキングメモリに負荷をかけることで実際にバインディングが関連しているかを検討することも今後の研究の推進の一助となると考えられる。
|
Research Products
(1 results)