2017 Fiscal Year Annual Research Report
A Study on the Formation and Utilization of Fishing Ground in the Maritime Village of Kenya
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17J02874
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
田村 卓也 総合研究大学院大学, 文化科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 小規模漁撈 / 漁場 / 環境認識 / スワヒリ海岸 / ケニア共和国 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、主たる調査地であるケニア共和国ワシニ島での長期調査とともに、調査地における漁場利用との比較をおこなうため、短期間の広域的な調査をケニアとタンザニアの沿岸部各地において実施した。また、現地調査の実施に必要な調査許可証の申請をおこない、ケニア政府より許可証を受領した。 ワシニ島における調査では、多様な漁法をおこなう漁業者たちをひろく調査対象としながら、漁場をとりまく自然環境認識や、漁のおこないかたなどについての聞き取りを実施した。また、島でもっと盛んにおこなわれている漁法のひとつであるかご漁に注目し、複数の漁業者を対象とした参与観察を実施した。漁場への同行や漁獲物の計量、GPSによる漁場位置の記録などを通して、かご漁をおこなう漁業者たちの漁場利用の様子を具体的に把握することを試みた。 ワシニ島では船外機付きの漁船は少なく、大半の漁業者は櫂や帆などを動力とする刳り船を使用したり、徒歩で漁をおこなう。そのため漁撈活動がおこなわれるのは島周辺の比較的狭い範囲に限られる。島周辺では漁場の独占的な利用はみられず、漁業者たちは自由に漁場を選択することができる。 ワシニ島周辺の海域においては、モンスーンの影響によって海況や漁獲量の季節的な変動がみられる。しかしながら、かご漁をおこなう漁業者たちはこのような季節的変化にあわせて漁場を移動することはあまりなく、年間を通して同じ場所で漁をおこない続ける傾向があるとこが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果の公表は遅れているが、データの収集は当初の計画どおり順調に遂行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き現地調査によるデータの収集を継続するとともに、研究の総括にむけて成果の公表を積極的におこなう。 今年度にケニアとタンザニアの各地において実施した広域的な調査では、同じ漁法であっても漁のおこないかたや漁場利用には地域差がみられた。今後はワシニ島での調査を軸としながら、各地での広域的な事例収集を同時におこなうことによって、調査地における漁場利用の特徴を明らかにする。また、漁業者個人のライフヒストリーや世帯における生計維持活動の現状などについてのデータをさらに収集し、活動の場としての漁場の利用をより多角的な視点から考察していくことを目標として研究を進めていく。
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Research Products
(1 results)