2017 Fiscal Year Annual Research Report
異種混載ハードウェア環境下におけるNOSQL向け分散システムの研究
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17J02958
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
徳差 雄太 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | FPGA / Key-value store / 電力効率化 / DDoS |
Outline of Annual Research Achievements |
異種混載ハードウェア環境下におけるNOSQL向けアクセラレータの研究の初段階としてNOSQLキャッシュのハードウェアキャッシュにおける階層化と応用事例の開発に取り組んだ。スイッチやNICを対象としたハードウェア上にオンチップRAM, DRAMを用いた階層化キャッシュの設計や従来技術の省電力化手法を組み合わせることで、電力効率化について従来のハードウェアシステムによりも5.1倍、一般的に使われているソフトウェアよりも24倍の向上を達成した。本課題は、英国ケンブリッジ大学コンピュータ研究所に留学し、同研究所で開発が行われているNetFPGA(本研究課題で開発対象であるFPGAボード)チームに参加し、各種ネットワークデバイスのオープンソース開発の活動を通して、本システムの開発に成功している。本システムについて有名国際会議に投稿中である。今後は、本システムの運用時に発生するワークロードに着目して電力解析を行っていく。 また、インターネットにおけるセキュリティ防御システムとしてUDPによるDDoS攻撃を防御するシステムを本研究の応用事例としてmitiKV(Mitigator using Key-value store)を開発した。特別研究員採用前に発表にしたICMPを用いたDDoS攻撃を用いることで、攻撃元のフロー数がハードウェアキャッシュ内の容量に収まる場合には10Gインターフェイスのラインレートにおいて防ぐことができた。一方で、ハードウェアをキャッシュから溢れた場合は、キャッシュ容量内のフローについては防ぐことができており、緩和することができた。今後は、ソフトウェアとのインターフェイスをも考慮し、ハードウェアキャッシュだけではなく、ソフトウェア側のホストPCのメモリを用いることで全フロー数の攻撃防御を目指していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Key-value Storeの中には、valueにデータ型を持たせるRedisがある。Valueにデータ構造を持たせることで、ユーザ側で様々なセマンティクスに対応してシステムを構築できるという利点を活用して、SNSやWebサービスのバックエンドとしてキャッシュ・ストレージに利用されている。本課題は複数のデータ構造をもつkey-value storeのハードウェア設計を行った。具体的には、STRING、LIST型、HASH型、SET型の4つのデータ型についてそれぞれ専用ハードウェアを設計している。これらのデータ構造について遅延を解析した。 昨年度でプロトタイプとして設計・実装したFPGAシステムはXilinx Virtex-5(約12年前にリリースされた)であった。そのため、FPGAのリソースが限らており、FPGAボードに搭載されているDRAMモジュールが288MBと十分であると言えない。そこで、Virtex-7を搭載したNetFPGA-SUMEボード上に再設計を行った。より性能を向上させるためにFPGAシステムをさらに階層化させた設計としてLaKe(Layered Key-value Store)アーキテクチャを提案した。具体的には、ハードウェアキャッシュ内部をDRAM、SRAMやBRAMを階層化させることで高速化している。Key-value Storeの主要なメモリ用途としてデータストアとハッシュテーブルがある。また、メモリ管理としてスラブアロケータを用いているが、便宜的に使用されていないChunkをリストで管理したFreeListを管理する必要がある。電力効率化について従来のハードウェアシステムによりも5.1倍、一般的に使われているソフトウェアよりも24倍の向上を達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、既に決まっているWestern Digitalでのインターン(6月~8月)で最新ストレージデバイスを対象としたkey-value storeシステムの開発を行う予定である。大学では手に入りにくい業界の最新デバイスを用いた研究の挑戦、トップレベルの国際会議で活躍する研究者と交流ができる。そのようなハイレベルな研究者がメンターとなり、3ヶ月間の研究課題を遂行していく。 本研究課題で設計したシステムは高い負荷を伴うワークロードが発生する際には、電力効率の観点で省電力化に効果的である。しかし、無負荷時について、ハードウェアアクセラレータの静的電力を含めると非効率である場合が考えられる。実際にデータセンタでは、トラフィック量は時間によって変動する。したがって、トラフィック量に応じてハードウェアアクセラレータの機能をスイッチングできるシステムが重要となってくる。そのスイッチングにおけるしきい値をアプリケーション毎に探求し、トラフィック量に応じて機能を動的にスイッチングできる機能を目指していく。この課題はケンブリッジ大学やスイス・USIと協力して進めており、十分な結果が得られ次第、第一著者として今後国際会議で発表する予定である。
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Research Products
(2 results)