2017 Fiscal Year Annual Research Report
細菌のアラニン排出輸送体に関する構造と機能解析および発酵生産への応用の基盤研究
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17J03042
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
勝部 哲 東北大学, 農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 大腸菌 / YtfF / L-アラニン / 構成的 |
Outline of Annual Research Achievements |
YtfFは大腸菌におけるL-アラニン排出輸送体であると考えられている。このYtfFの機能の一端を解明するためにレポーターアッセイを行った。YtfFの300bpもしくは600bp上流域を導入したレポータープラスミドを作製して、YtfFの基質となるアミノ酸を添加した条件下でレポーター遺伝子の発現量を定量した。その結果、YtfFは基質となるアミノ酸に依存しない構成的な発現を行っていることが明らかとなった。また、YtfFの構造解析を行うために、YtfFの膜貫通領域に存在するチャージを持ったアミノ酸に関してポイントミューテーションを加え、それらの各変異型ytfF発現プラスミドをAla-Ala高感受性変異株に導入した形質転換体のAla-Alaに対する感受性(MIC)の変化を調べた。その結果、37番目のアルギニンをリジンまたはアラニンに変えた置換誘導体(R37K, R37A)、271番目のグルタミン酸をアスパラギン酸またはアラニンに置換した誘導体(E271D, E271A)において、宿主であるAla-Ala高感受性株と同等のMIC (5 µg/ml)を示し、YtfFの機能がほぼ完全に欠損していると考えられた。このことから、これら2つのアミノ酸残基(R37, E271)はプロトン透過経路及び基質結合部位のような機能上重要な部位である可能性が極めて高いと考えられる。よって、今後はこれら2つのアミノ酸残基についてより詳しい解析を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの達成度について、おおむね順調に進展している理由として以下の2点を挙げる。 年次計画における1年目の予定ではまず「レポータープラスミドの作製及び、それを用いた様々な条件下におけるレポーター遺伝子の発現量を測定すること」を計画に挙げていた。これについてはおおむね計画通りにレポータープラスミドを作成でき、YtfFが基質に依存しない構成的な発現をすることが分かった。2つ目には計画において「エラープローンPCRを用いてYtfFの変異ライブラリーの作成を行い、機能上重要なアミノ酸残基を特定すること」を挙げた。しかし、エラープローンPCRによるライブラリーの作成がうまくいかなかった。そこで、機能上重要であることが予測されるYtfFの膜貫通領域におけるチャージを持つアミノ酸の評価に切り替えた。その結果いくつかのチャージを持つアミノ酸残基において機能上重要である可能性が示唆された。よって当初の予定とは異なっているが機能上重要であるアミノ酸残基は絞り込めたため現在の達成度をこのように評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
a前年度の研究によって機能上重要であると考えられたいくつかの膜貫通領域に存在するチャージを持ったアミノ酸残基の中からin vitro評価系を用いて基質結合部位及びプロトン透過経路に関与するアミノ酸残基を同定する。また、アラニン発酵生産モデル系の確立を目指し、変異大腸菌株の作成およびL-アラニン発酵生産量の測定を行う。
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Research Products
(4 results)