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2017 Fiscal Year Annual Research Report

粘性の温度依存性が大きい流体における対流ダイナミクス

Research Project

Project/Area Number 17J03066
Research InstitutionTokyo Metropolitan University

Principal Investigator

小林 和也  首都大学東京, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)

Project Period (FY) 2017-04-26 – 2019-03-31
Keywords熱対流現象 / 流体力学的不安定性 / 非平衡物理学
Outline of Annual Research Achievements

(1) 粘性差を伴った2成分混合系における熱対流
これまでに高分子溶液や粘性の強い温度依存性を持った単純流体において,対流中に動的に流れがなくなる領域(Transient Stagnant Domain:TSD)が形成されることを発見した.この形成起源について,混合する2成分間の運動性の違いに着目した.そこで粘性が異なるシリコンオイル混合系および水・グリセロール系を用いて粘性差が伴った熱対流現象を詳細に調べた.その結果,ある粘性差以上になるとTSD形成が起こることを発見した。さらに2成分系対流においては,温度勾配を駆動力とする成分の拡散が生じて濃度勾配が形成されるLudwig-Soret効果が対流に影響することが知られている.そこで,これまでに報告されているSoret係数を参考にLudwig-Soret効果について考察を行い,TSD形成とは関係していないことを突き止めた.

(2) 物理ゲルを用いた新たな流体力学的不安定性の実験手法開発
重力に対して密度反転で接している場合,界面は揺らぎによる凹凸が次第に増大して流れが生じる.このような現象は界面不安定性の典型例であるが,実験的に初期界面をどのような手法で作り出すかは不安定化後の流れに与える影響を考える上でとても重要である.例えば流体間に仕切り板を取り付け,それを引き抜く方法はよく用いられるが,この引き抜きによる人為的な初期撹乱がその後の不安定化による流れの成長を支配することが知られている.そこで物理ゲルを用いることで,人為的な初期撹乱を伴わない新たな実験手法を開発し,Rayleigh-Taylor不安定性およびlock exchange実験に本手法を適用し,興味深い実験結果を得ることに成功した.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究では、まず、これまでに高分子溶液等で発見した対流中における流れのなくなる領域(TSD)形成の起源について実験的に調査を行った。シリコンオイルおよびグリセロールを用いた実験によって、2成分系において、混合する液体の粘性差が重要であることが明らかにし、特定の物質で見られた現象から粘性差があればTSD形成が起こるという一般性を実験的に見出すことに成功した。これによってTSD形成を解き明かす重要な知見が得られたと確信している。

続いて、流体力学的不安定性(レイリーテイラー不安定性など)の実験方法に関して、これまでの伝統的な手法における問題点を解決するため、物理ゲルを用いた新たな実験手法の確立を行った。この手法によって、実際にこれまでの手法では実験が困難であった、混和性液体における不安定化現象の初期過程を、人為的な撹乱が伴わず正確に調べることが可能であることを示した。

Strategy for Future Research Activity

対流中に形成される流れのなくなる領域TSD形成について、混合する流体間にある値以上の粘性差がある場合に共通して起こることを発見した。今後は、この粘性差がどのような物理的メカニズムでTSD形成と結びついているかを系統的な実験およびシミュレーションによって明らかにする。まず3次元拡張セルを用いて3次元対流のTSD形成に関して実験を行う。これより、粘性差や加熱温度など条件を変えながら、TSDの形成頻度やパターンを調べることで3次元対流とTSD形成の関係を明らかにする。さらに、これまで行った実験より得られたTSDメカニズムを元に現象論的方程式の導出を行う。そして、これまでに得られた実験結果と比較・検討を行うことによって、粘性差を持った2成分混合系における対流現象の普遍的な性質を明らかにしていく。
また物理ゲルを用いた新たな手法によって、混和性液体のレイリーテイラー不安定性において興味深い実験結果を得ることに成功している。これらの結果をより精査して、従来の手法では明らかにされていない課題に取り組んでいく予定である。

  • Research Products

    (8 results)

All 2018 2017

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (7 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Journal Article] Ubiquitous transient stagnant domain formation during thermal convection in a well-mixed two component fluid with large viscosity difference2017

    • Author(s)
      K. U. Kobayashi and R. Kurita
    • Journal Title

      Scientific Reports

      Volume: 7 Pages: 12983

    • DOI

      10.1038/s41598-017-13409-w

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] 粘弾性体におけるレイリーテイラー不安定性2018

    • Author(s)
      小林和也, 栗田玲
    • Organizer
      日本物理学会 2018年第73回年次大会
  • [Presentation] Thermal convection in a well-mixed two component fluid with large viscosity difference2017

    • Author(s)
      K. U. Kobayashi and R. Kurita
    • Organizer
      International Symposium on Fluctuation and Structure out of Equilibrium 2017
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] ゼラチン対流における初期過程観察2017

    • Author(s)
      小林和也, 栗田玲
    • Organizer
      日本物理学会 2017年秋季大会
  • [Presentation] 大きな粘性差を伴った混和性2成分流体の対流ダイナミクス2017

    • Author(s)
      小林和也, 栗田玲
    • Organizer
      第16回 関東ソフトマター研究会
  • [Presentation] 混合溶液系における異常対流2017

    • Author(s)
      小林和也, 栗田玲
    • Organizer
      日本物理学会2017年 第72回年次大会
  • [Presentation] 大きな粘性差を伴った2成分混合系における熱対流2017

    • Author(s)
      小林和也, 栗田玲
    • Organizer
      第7回 ソフトマター研究会
  • [Presentation] 大きな粘性差を伴った混和性二成分流体の熱対流2017

    • Author(s)
      小林和也, 栗田玲
    • Organizer
      日本物理学会 2017年秋季大会

URL: 

Published: 2018-12-17  

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