2017 Fiscal Year Annual Research Report
言語の長距離型の移動現象の解明:相理論とラベリングの観点から
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17J03420
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
杉本 侑嗣 上智大学, 言語科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 自由併合 / 言語間差異 / 繰り上げ構文 / 難易構文 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究課題である言語の長距離型の移動タイプとして, 超繰り上げ構文(hyper-raising)と英語の難易構文(tough-construction)また、不適切な移動(improper movement)を中心にした研究の成果の一部を国際ジャーナルに投稿し、採択に至ってはいないが、査読され、再提出の要求を受け、現在も論文を改訂中である。また自由併合の適用に関する一考察を論文として投稿し、論文掲載された(査読なし). 研究課題の一部として、移動における言語間差異に関する取り組みとして、Obata et al. (2015)で述べられている統辞部門内部での操作の適用順序に注目し、移動と文法的一致の操作が起こる適用順序によって、介在効果(intervention effect)の言語間差異が導き出されることを示した.この研究は、The 13 the Workshop on Altaic Formal Linguisticsのposterで発表し、論文はMIT Working Papers in Linguisticsにて出版される予定である。 日本学術振興会の若手研究者海外挑戦プログラムに応募、採択され、現在、ミシガン大学にて研究を行い、過去の研究とともに院生や教授との交流を通じて意見交換を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績として、国際学会での発表、国際ジャーナルへの投稿を含め、研究の一部を研究成果がまとまりつつある。しかしながら、研究課題である長距離型のA移動に関する言語間差異の所在に関する詳細な考察や包括的な理論的貢献にまでまだ至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題において、長距離型のA移動に焦点を当ててきたが、埋め込み節の特性が言語ごとにことなり、統一的なアプローチを行うことが妥当か慎重に議論する必要がある。また英語の不定詞節の種類でも時制の有無等の違いがあり、節の大きさに注目することで、形式素性のみでなく意味的な素性も見ていく必要がある。また、長距離型のA移動が主語や目的語への移動であること、移動後、さらなる移動ができない特性が英語では観察されているが、日本語では、主語と目的語の非対称性が見られない点にも注目していきたい。
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Research Products
(2 results)