2017 Fiscal Year Annual Research Report
集団全体の寛容性が社会的学習に及ぼす影響についての実験的検証
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17J03435
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
貝ヶ石 優 大阪大学, 人間科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | ニホンザル / 伝播 / 社会的学習 / 食物分配 / 種内変異 / 寛容性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、集団全体の寛容性の高さが、社会的学習による行動の伝播の起こりやすさに与える影響について明らかにすることである。2017年度は、淡路島ニホンザル集団において、社会的学習実験、および淡路島ニホンザル集団の寛容性の高さを評価するために行動観察による社会行動のデータ収集を行った。 社会的学習実験は、2017年7月-9月、および2018年1月-3月にかけて淡路島ニホンザル集団を対象に行った。5月-7月に実験装置の作成および、報告者の所属する研究室で飼育しているニホンザルを対象とした予備実験を行い、7月中旬から淡路島ニホンザル集団での本実験を開始した。9月ごろに集団の動向が不安定になったため、一旦実験を中断し、2018年1月に再開。3月に淡路島ニホンザル集団で予定していた実験を全て完了した。今後は実験データの詳細な解析を行う予定である。 上述の社会的学習実験に加え、淡路島ニホンザル集団において行動観察による社会行動についてのデータ収集および解析を行った。淡路島ニホンザル集団の成体同士で行われた毛づくろいエピソードを記録し、毛づくろいネットワークを作成、社会ネットワーク分析によりネットワークの構造を分析した。その結果、淡路島ニホンザル集団の毛づくろいネットワークには、一般的なニホンザル集団で見られるものとは異なる構造的特徴が見られることが示唆された。さらに、一般的なニホンザルではまれであるとされる、3頭以上が同時に参加して行われる毛づくろいが、淡路島ニホンザル集団では頻繁に行われることが明らかになった。これらのことから、淡路島ニホンザル集団の個体は、一般的なニホンザルとは異なり、より寛容性の高い種に見られるのと類似した社会行動の様式を有していると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた通り実験および行動観察を遂行することができたが、実験データの解析が不十分であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度に行った実験データの解析を進めるとともに、淡路島ニホンザル集団における行動観察を継続する。加えて、勝山ニホンザル集団において個体識別を開始し、冬期から行動実験を開始する。
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Research Products
(3 results)