2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17J03508
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
勝又 裕斗 学習院大学, 法学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 政治学方法論 / 欠測データ / コンジョイント実験 / 項目反応理論 / 空間理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,「選挙制度と民主制のダイナミクス」における実証研究のための新たな方法論の開発を主として行った。 まず,昨年度から引き続き,コンジョイント実験によって得られたデータから回答者間の異質性の構造を推定し,この回答者の異質性によって平均因果効果がどのように異なるかを分析する手法を新たに開発している。この研究は長期在外研究としてMITにおいてTeppei Yamamoto, Devin Caughey両教授と共同研究を行っているものである。この研究では,政策の束から成るプロフィールを一対比較させるコンジョイント実験において,政策に対する賛否が有権者間で異なることを空間投票モデルを用いて理論化し,項目反応理論モデルを用いてその構造を推定している。 この研究成果はPolmethおよびAmerican Political Science Associationという世界トップレベルの学会において報告を行った。現在はこれまでに行われてきたコンジョイント実験のデータへの応用を行うとともに,多次元モデルへの拡張を行っている。 また,本年度よりCensoringを中心とした欠測データに対する対処についての研究を行ってきた。欠測データについての研究は,特定の仮定のもとで欠測確率の逆数を重みとする方法が開発されているが,従来の方法よりもより効率的で頑健な推定方法の開発を行っている。マルチウェーブのサーベイ調査等,政治学においても欠測データが実証研究上の問題となる場面が多々あるため,この方法によってより効率的かつ頑健な推定が行えるようになる可能性がある。 この研究成果はPolmeth, American Political Science Association, Asian Polmethという世界トップレベル,アジアトップレベルの学会において報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コンジョイント実験における因果効果の異質性の研究について,研究成果を報告する機会を多数えることができ,多くのフィードバックを得た。そのなかでも要望の多かった多次元空間への拡張を行っている。これにより実証分析においてより有用な方法となることが期待出来る。 欠測データ処理の方法論の開発については,censoringについての研究成果を多くの学会で報告する機会を得,そのフィードバックをもとに草稿の修正を行ってきた。さらに,この研究から得られた知見をより幅広い欠測データについて応用する研究を進めており,その研究も順調に進んでいる。 これらの研究状況は概ね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
コンジョイント実験における因果効果の異質性の研究については,多次元空間への拡張が理論的には可能となっているため,この方法について安定した推定の実装を行っていく。また,多次元空間が想定される実際のデータに対してこの方法を適用し,どのような結果が得られるかを研究していく。 欠測データ処理の研究については,幅広い欠測データのパターンについて既存の方法よりも頑健で効率的,かつ,統一的な推定の方法を研究していく。この研究は基盤となる理論的な研究と同時に,政治学を中心とした実際の欠測データ含むデータセットを分析する場面において必要となる応用研究を行っていく。
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Research Products
(8 results)