2017 Fiscal Year Annual Research Report
Chemical evolution and mechanisms of carbon-chain molecules in star-forming regions
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17J03516
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
谷口 琴美 総合研究大学院大学, 物理科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 星形成 / 星間化学 / 炭素鎖分子 / 化学進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
国立天文台野辺山45m望遠鏡を用いて、大質量星形成領域の17個の星なしコアと28個の星ありコアの炭素鎖分子、HC3N, CCS, cyclic-C3H2、及びN2H+のサーベイ観測を実施した。大質量星形成領域での化学進化の指標の確立を目的としたものである。HC3N/N2H+の存在量比は増加することがわかった。これは、大質量星形成領域では、温度が高いため、ダストから昇華してくる分子であるCH4やC2H2がHC3Nを新たに生成しているためと考えられる。この結果について議論するため、アメリカのハーバード-スミソニアン天体物理学センターの共同研究者を2週間訪問し、投稿論文としてまとめる準備を行った。 野辺山45m望遠鏡を用いて、2つの中小質量星形成領域の星なしコア、L1521B及びL134N、のHC3Nの13C同位体分別の観測を行い、それぞれの天体におけるHC3Nの主要な生成経路を調べる観測を行った。その結果、L1521BではC2H2とCNの反応、L134NではCCHとHNCの反応がそれぞれ優位であることがわかった。先行研究では、TMC-1の観測が行われており、C2H2+CNが優位であることが知られていた。これら3天体はいずれも物理環境が似ているにも関わらず、このような違いが見られた理由として、コアの年代が関わる可能性を化学反応ネットワークシミュレーションを用いて示した。 アメリカのVery Large Array干渉計で得られたG28.28-0.36の大質量星周辺のHC3N, HC5N, HC7Nの観測結果の解析を行い、他望遠鏡のアーカイブデータと合わせることで、暖かい領域にこれらの炭素鎖分子が存在しているか調べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、学位論文の執筆に加え、当初予定していた論文数より多く投稿することができ、4本を投稿論文として出版した。
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Strategy for Future Research Activity |
学位論文にまとめた内容で、まだ投稿論文として未出版の研究について、投稿論文としてまとめるのを優先して進めていく。アメリカのVery Large Arrayを用いた炭素鎖分子の高空間分解能観測の結果、野辺山45m望遠鏡を用いて行った大質量星形成領域のサーベイ観測の化学進化についてまとめる。また、ALMAのアーカイブデータを使った大質量星形成領域の分子の空間分布の比較について、現時点では解析を行った段階であり、今後、議論の方向性を決め、論文としてまとめることを目標に進める。
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Research Products
(8 results)