2017 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀のカレンバプテスト宣教に関する実証的研究―植民地ビルマにおける近代化再考
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17J03566
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
藤村 瞳 上智大学, グローバル・スタディーズ研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 宣教 / カレン / 19世紀ビルマ / 歴史 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、海外での学術調査を二度実施した。2017年7~8月にイギリスおよびアメリカでの公文書館調査を行い、それぞれ関連史料を閲覧・収集した。その後9月には、ミャンマーにおいても実地調査を行った。 学会や国際会議での研究発表は、今年度は合計4回行った。2017年4月にビルマ研究会で、「「ブエはプアカニョウか?」-1850年代タウングー宣教におけるスゴー・カレン伝道師のカレン民族観-」」という題目にて発表した。1850年代に活躍したカレン牧師による記録から、「カレン」という分類枠組みを軸にした彼らの自他関係の諸相を明らかにした。次に、東南アジア学会関西例会にて、「19世紀後半ビルマにおける近代的主体による政治活動とその背景:カレン民族協会結成の歴史的意義再考」と題した研究報告を行った。この研究発表では、現在執筆している博士論文の中核をなす事例に関して報告した。 2017年12月には、Consortium for Southeast Asian Studies in Asia (SEASIA) Conference 2017に参加し、「Being Baptists, Becoming Karen」という題目で発表を行った。さらに2018年1月に、採用者自らが企画・運営を行った国際シンポジウムにて、「Baptist Karens’ Quest for the Official Status of British Burma and their Intent in the 1880s’」という題目で研究発表を行った。日本国内の若手研究者・大学院生による研究報告を基軸に、海外からの基調講演者および国内からコメンテーターを招聘して実施された。 本年度は、上智アジア文化研究所より『19世紀ビルマにおける「自給のカレン宣教」の歴史的位相』という単著を刊行した。同著は、現在執筆中の博士論文の一部にあたる内容である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
採用年度一年目である今年度は、国内外において研究発表を重ねたほか、単著を刊行することができた。これらの研究発表や著書は、全て本研究課題に関連する内容であった。よって、研究進捗状況はおおむね順調であるといえる。研究発表の際にいただいたコメントや指摘を基に、研究課題の達成および博士論文提出にむけて、次年度には考察をさらに深化していくことができると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
採用終了年度となる平成30年度には、本研究課題をテーマとする博士論文執筆および提出にむけて、執筆活動に専念する。併せて、東南アジア学会やSOAS-Oxford Graduate Student Workshopなどで、博士論文の骨子となる内容について研究報告を行う予定である。こうした活動をつうじて、分析考察を精微なものとし、洗練された議論を軸にした博士論文の提出を目指す。
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Research Products
(5 results)