2018 Fiscal Year Annual Research Report
Composer as Interpreter: From the Transition of Conducting from 19th to 20th Century
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17J03577
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
内藤 眞帆 東京藝術大学, 音楽研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 西洋音楽史 / 音楽学 / 19世紀 / 管弦楽法 / 交響曲 / マーラー |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、昨年度に収集・デジタル化した資料の整理・分析・考察に取り組んだ。 具体的な進捗としては、まず、マーラーの初期交響曲の成立過程及び管弦楽法と、彼の指揮活動の関連について、国際学会にて口頭発表を行ったことが挙げられる。本発表は昨年度行った研究を発展させたものであり、博士研究全体の枠組みを成すものであるが、発表時間の制約もあり個々の事例の詳細を扱うことはできなかった。そのため、学内外での研究発表の場において、マーラーの初期交響曲における打楽器について、使用された打楽器の種類の変遷、象徴的な用法、および純音楽的な用法という観点から発表を行った。 後期からは、ドイツのボン大学にて在外研究を行っている。渡独後の一学期間は、管弦楽法研究の方法論についての根本的な考察を行い、マーラーが行った修正や、マーラーの初期交響曲における管弦楽法の分類方法について整理した。この考察から、従来の研究では扱いが困難なために掘り下げられることが極めて少なかった、作曲家が自作品に対して行った修正・改訂の分析方法を編み出した。現在までに、この方法論を用い、現在管弦楽法の分析を行っている。 なお、初年度の研究成果をまとめたドイツ語論文を執筆・投稿し、現在査読中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね当初の計画通りに進んでいる。とりわけ、在外研究をつうじて、扱いが困難である、作曲家が自作品に対して行った修正・改訂についての分析方法を確立したことは特筆すべきである。 なお、オンラインでアクセス不可能な一次資料については、初年度にほぼ全ての資料をデジタル化したが、オンラインで閲覧可能な資料についても、原本を調査する必要がでてきたため、この作業は来年度の夏季休暇を用いて行う。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の研究計画としては、北米(アメリカ・カナダ)およびイギリスの図書館に所蔵されている重要な一次資料(自筆譜)を調査すること、そしてその読解が第一に挙げられる。これらの資料はすべてデジタル化されており、オンラインで閲覧可能であることから、初年度および今年度では、オンラインにおいて閲覧不可能な資料の収集を優先していた。しかし、オンラインで閲覧可能な資料についても、細かな筆跡や楽譜の綴り方など、デジタル資料では判別不可能な点が多数あるため、来年度の夏季休暇を用いて実際に現地で原本を調査する。なお、これらの資料の分析から得られた研究成果については、2019年9月にドイツ音楽学会にて口頭発表を行う。 後期は、これまでに行った全ての曲の修正・改訂の分析を時系列順に改めて整理し、その傾向を導き出し、博士論文の執筆を進める。
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Research Products
(1 results)