2017 Fiscal Year Annual Research Report
板状シンチレーターと波長変換ファイバーを用いたPET用ガンマ線測定器の研究
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17J03590
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小林 篤史 千葉大学, 大学院理学研究院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | ガンマ線 / 位置分解能 / エネルギー分解能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も研究は順調に進み、以下に示す重要な成果が得られた。 (1)本研究では、板状シンチレータが発する光を波長変換ファイバーで読み出す設計となっている。しかし実際の波長変換ファイバー(クラレ社製)は波長領域の違う4種類があり、またシンチレータも様々な種類がある。そこで代表的な3種のシンチレータ(GSO結晶、GAGG結晶、La-GPS結晶)と4種類のファイバーそれぞれの組み合わせにおいて光量の測定実験を行い、結果を比較した。La-GPS結晶と波長変換ファイバー”B-3”の組み合わせが最も測定光量が大きい(8.6 p.e.)という結果となった。光学系として理論的光量がもっとも大きいのはGAGG結晶とファイバー”O-3”の組み合わせであったが、発光波長が光電子増倍管やMPPCの感度波長領域に合わないために、測定光量は4.3 p.eであった。 (2)上記の比較実験を経て、使用する結晶やファイバーの種類は決定した。そこでまずサンプルとして10mm×10mm×1mmのシンチレータを入手し、位置測定の検証実験を行った。実験は、作成した測定系に鉛のコリメータによって作成したガンマ線のビームを入射させて行った。1.5mm間隔で入射位置をズラして行ったところ、測定位置もズレていく様子が確認された。この結果から、本測定システムは十分にγ線の位置を測定可能であることが示された。 (3)10mm×10mm×1mmのLsGPSシンチレータを用いて、エネルギー測定の検証実験も行った。実験は、位置測定検証と同じく、鉛のコリメータによって作成したガンマ線のビームを入射させて行った。結晶側面に貼り付けたSiPM(MPPC)の信号を足し合わせることで511keVの鋭いピークを持った分布が確認され、エネルギー測定が可能であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は測定器に最適なシンチレータを決定すること、エネルギー測定や位置測定について検証を行う計画であった。 そして実績概要に示した通り、計画通りに進捗がある。結果についても期待した成果が得られており、順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は主に、511keVガンマ線に対するエネルギー分解能・時間分解能・位置分解能の評価を実施していく。 具体的には、今年度で決定したシンチレータ・MPPC・WLSFを購入して簡易版の測定器を作製する予定である。その測定系にNa密封線源からのガンマ線を入射させ、応答を解析する。 入射の際には鉛製のコリメータでガンマ線がシンチレータに与えるエネルギ ーと入射位置を設定し、ガンマ線が測定系に与えるエネルギーとエネルギー分解能・位置分解能・時間分解能の関係を求めることで性能を評価する。
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Research Products
(2 results)