2018 Fiscal Year Annual Research Report
板状シンチレーターと波長変換ファイバーを用いたPET用ガンマ線測定器の研究
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17J03590
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小林 篤史 千葉大学, 融合理工学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | PET用ガンマ線測定器 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)昨年の成果を踏まえ、28 x 28 x 3.5 mmのシンチレータを購入した。本研究では板状シンチレータの4側面(28 mm x 3.5 mmの面)に外形3.5mm四方のMPPCを8個ずつ、合計32個のMPPCを貼り付ける。この32個のMPPCの信号処理について当初は個別に電気信号を読出し、時間情報と光量情報を抜き出す予定であった。しかしこの手法では時間に関する回路と光量に関する回路がそれぞれ32チャンネルずつ必要となるため、大幅なコストを必要とする。一方で全てを並列に接続すると、個別の時間情報が失われてしまうと共に、電圧を一括でかけることから増倍率のばらつきが発生し、分解能が低下する。そこでハヤシレピック株式会社に専用の読出し回路の作成を依頼し、複数回の打ち合わせとテスト実験を経て回路の開発に成功した。本回路は32個のMPPCを、個別に電圧を調整しながら制御ができる。加えて32個の個別のタイミング信号と、32個合計電流値を出力する。 (2)開発した回路を用いて、性能評価実験を行った。シンチレータにMPPCを張り付け、ファイバーシートを表面と裏面に設置。実験ではNa22をガンマ線源、BGOを用いたガンマ線検出器をリファレンスとして用いた。Na22とBGOの間は鉛でコリメートされており、リファレンスにガンマ線が入射した事を条件にする事で、La-GPSに当たるガンマ線ビームを絞ることができる。また、今回はファイバーの読出しに位置弁別型光電子増倍管(PSPMT)を用いた。ファイバーの端とPSPMTの接続には専用のアクリルコネクタを開発。実験の結果、2mm以下の位置分解能と標準偏差で4.5%のエネルギー分解能を達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は実寸サイズ(28 x 28 x 3.5 mm)のシンチレータを用い、MPPCやファイバーも実際に使用する設計で製作して実験を行なった。加えて受光素子の読み出しに必要な回路の開発も行い、低雑音かつ高精度に多数の受光素子を読み出すことが可能となった。実験として測定器の性能を直接的に評価できた上に、高い性能を実現できることが分かった。この結果は11月に国際学会(2018 IEEE Nuclear Science Symposium and Medical Imaging Conference)で発表を行なった。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の結果を踏まえ、実機の作成と性能評価を実施する方針である。シンチレータ4層によって構成されるモジュールを作成しており、コンプトン散乱事象の測定を目指している。一層で実験を行った今年度と比較し、読出し回路や受光素子も4倍となるため、データ収集システムの再構築も合わせて行う予定である。
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Research Products
(1 results)