2017 Fiscal Year Annual Research Report
発話からの感情理解の発達:乳児期から児童期にかけての様相とメカニズムの解明
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17J03631
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
池田 慎之介 東京大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 発話 / 感情理解 / 幼児 / 児童 / 文化比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
発話には,言語内容とパラ言語情報という,感情を伝える2つの手掛かりがあり,幼児期から児童期にかけて,それら手掛かりの用い方が変化することが知られている。本年度は,1)幼児期から児童期にかけて,どのような感情的コミュニケーションがとられるのかに関する文献研究,2)園場面での感情表出や感情理解及びそれらに対する保育者の言葉かけに関するフィールド調査,3)文化比較研究のための刺激作成,4)大人を対象とした高次の感情認識に関する研究,の4点を実施した。 1)では,幼児期から児童期にかけて,感情表出の調整がどのように発達していくのか,また,意図的に操作された表出から感情がどのように読み取られるのかについて,先行研究を広く検討した。その結果,幼児期から児童期にかけて,子どもは様々な動機に基づいて感情表出を調整できるようになっていく一方,そういった偽りの表出を正しく見破れるのは,児童期以降とやや遅れることが明らかになった。 2)では,実際に園で観察を行い,0歳から5歳までのクラスで,子どもたちがどのように感情を表出しているか,それにどのような言葉かけがなされるかを記録した。その結果,0歳児クラスの時点ですでに子どもの感情表出に対する言葉かけはなされ,3歳児以降になると,子ども同士のやりとりやいざこざに対して,どのように感情を伝え,読み取るべきかといったような言葉かけがなされることが明らかになった。 3)では,日米比較のため,言語内容の対応したセリフ文を作り,バイリンガルのナレーターに読み上げてもらったものを収録した。 4)では,様々な手掛かりから大人はどのように感情を統合的に読み取るのかを検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度予定していた研究については概ね予定どおり実施し,一定の知見を得ることができた。さらにその成果は,国内外の学会で発表し,論文にもまとめることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで得られた成果や見通しに基づき研究を進展させる。1)については更なる検討を進めつつ,3)を基に文化比較を行い,発話からの感情理解の発達的機序を明らかにする。
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