2018 Fiscal Year Annual Research Report
東日本大震災の実態に基づく津波避難評価手法の提案と安全社会構築に向けた実装
Project/Area Number |
17J03690
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
牧野嶋 文泰 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 津波避難 / 避難シミュレーション / 大規模シミュレーション / 東日本大震災 / 避難実態 / 避難者モデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
1.大規模津波避難シミュレーションの実施:本研究で開発した避難シミュレーションを改良し,川崎市臨海部を対象に,約34万人の避難人口を想定した大規模な避難行動解析を実施した.計算中の近傍避難者の探索に,背景格子を使う探索を採用することで計算コストを低減し,このほかに並列計算における通信コストを減らすようコードを改良することで,大規模かつ詳細な避難行動解析が現実的な時間内で実施可能となった.解析の結果,都市部の人口密集地域では,徒歩避難であっても避難者の集中によって避難路上で混雑が発生し,避難に遅れが生じうる可能性があるとわかった.そこで,近年,研究が進んでいるリアルタイム津波浸水予測に基づく避難制御によって上記の避難リスクを低減できるか検討した.その結果,避難制御による混雑状況の改善が確認され,津波到達前に十分な猶予時間がある場合に,浸水予測情報が円滑な避難行動を支援できる可能性が示唆された.
2.現実的な避難者モデリングの検討:宮城県石巻市南浜町で実施された震災当時の住民行動の面接調査結果を分析し,津波避難行動解析における,より現実的な避難者モデリングが可能か検討した.本研究では,配列解析の概念を参考に,当時の避難者の行動をコード化し,その傾向を分析した.その結果,対象地域では,迅速な避難行動をとった住民がいる一方で,仕事や安否確認のために複数地点を移動した住民も多く存在し,猶予時間の間の住民達の多様な行動が明らかになった.しかし,行動を類似度に基づきクラスタリングすると,多様な行動も,いくつかのパターンに整理された.また,発災時に類似した場所にいた住民達は,その後の行動で,同様の行動傾向を示すこともわかった.今後,異なる地域やイベントでの検証が必要であるが,津波避難行動解析における避難者モデルの高度化に資する知見を得ることができた.
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Research Progress Status |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)