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2017 Fiscal Year Annual Research Report

「無視不可能な」欠測メカニズムを持つ場合の発展途上国のミクロデータ解析

Research Project

Project/Area Number 17J03807
Research InstitutionKeio University

Principal Investigator

若野 綾子  慶應義塾大学, 経済学部, 特別研究員(PD)

Project Period (FY) 2017-04-26 – 2020-03-31
Keywords欠測メカニズム / 個票データ / 操作変数法 / EMアルゴリズム
Outline of Annual Research Achievements

今年度は予定していた研究を進めることができた。本研究は開発途上国における欠測データメカニズムを明らかにすることを目指している。そのために研究計画書では「研究A」と「研究B」に分けたが、「研究B」では開発途上国の既存公開「個票」データを使用して欠測傾向を明らかにすることを目標に掲げていた。欠測データ解析は、計量経済学の「政策評価」の分野で使用される推定手法に類似した点を多く持つ。それは「政策評価」の文献によって定義される「潜在変数」または「潜在的結果変数」が観察できないにも関わらず、識別に必要とされる。「潜在変数」の取り扱いは「欠測問題」として置き換えることができ、データ解析手法に類似の点を多く持つ。本研究の初年度では「政策評価」の文献でも使用され、欠測データ解析の手法でも「欠測操作変数」として使用される「操作変数」法に関して、開発途上国のデータをもとに以下の応用論文を執筆した。もっとも基本的な設定で、操作変数となる変数が二値、処置変数が二値の値をとる場合に「操作変数法」によって識別されるComplier グループと呼ばれる集団とそれ以外のグループの属性を明らかにする研究を行った。「政策評価」の既存文献において上述の設定では、操作変数法によって推定できるのは母集団の一部分であり、これは政策執行者が知りたいと考える母集団の平均処置効果から離れている、という批判がある。本研究では、観察できないグループのタイプをモデル化し、欠測部分を期待値で置き換えるEMアルゴリズムの手法を用いて、各タイプの属性パラメタの推定を行った。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

研究計画で記述したとおり、本研究は開発途上国における欠測データメカニズムを明らかにすることを目指している。そのため「研究A」と「研究B」に分けて行うが「研究B」では開発途上国の既存公開「個票」データを使用して欠測傾向を明らかにすることを目標に掲げていた。

初年度である本年は、欠測者の属性を明らかにするということを主眼において研究を進めてきた。具体的にはもっとも基本的な設定で、操作変数となる変数が二値、処置変数が二値の場合に「操作変数法」によって識別されるComplier グループと呼ばれる集団の属性を明らかにした。上述の設定で頻繁に使用される「操作変数法」は「母集団のうち特定のグループ(Complierグループ)の平均的な処置効果」を推定している。その場合に母集団の特定のグループの平均処置効果は本来の母集団全体の平均処置効果と大きく異なる可能性も危惧され批判的に論述されてきた。

本研究では特定のグループの処置効果は「局所的平均処置効果」とよばれるが、その特定のグループの属性が潜在的な結果変数に与える影響を明らかにし、属性に関するパラメタを推定し、他のグループの属性と統計的に有意に異なるかどうかを調べた。具体的にはEMアルゴリズムを使用して、観察可能な変数によって各タイプが決定するモデルを立て欠測部分を期待値によって置き換える方法をとった。実証例はケニア共和国の親の投資行動に関するデータを用いた。1980年代の義務教育が延長する政策によって親の投資行動がいかに変化したかを調べた。この結果、政策によって教育年数が増えるような特定の集団のパラメタと政策に関係なく教育年数が高い母親では、属性が異なることの影響は殆どないことが分かった。

Strategy for Future Research Activity

研究計画に記載した「研究B」を行うためにカンボジアの農村家計において実データを収集する計画があった。それは開発途上国において頻繁に実施するアンケート調査において「どういった状況で欠測が生じるか」を明らかにするためのものである。将来的に開発途上国での実際のアンケート調査を行う候補地として、カンボジアのシェムリアップという地域で事前調査を8月に実施した。この事前調査の結果、パートナーシップを組む予定であった団体と長期にわたる共同研究を行うことが難しと判断し、将来のアンケート調査の計画を見直した。来年度は公開されている開発途上国のデータのみで、実証分析を行う予定である。

また先述した「操作変数法」を応用する実証論文として「日本の医療データ」を使用した研究を開始している。具体的には、日本の市区町村が行う医療検診サービスの「価格」が検診受診行動に与える影響をしらべ、検診受診行動を通してがんの進行度合いに与える影響を調べるものである。本研究でも、中心的な仮説は「検診サービスの価格」が政策によって変動する場合に、価格変動によって行動を変える特定の集団の属性を明らかにすることである。これは財政や医療政策の観点からも非常に重要な示唆を与えうる研究となる。本研究に必要なデータ収集を開始した。

  • Research Products

    (1 results)

All 2017

All Presentation (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Presentation] “The effect of locally hired teachers on school outcomes (the Does response function estimation evidence from Kenya)”2017

    • Author(s)
      若野綾子
    • Organizer
      International Association for Applied Econometrics 2017 IAAE Conference
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2018-12-17  

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