2018 Fiscal Year Annual Research Report
国際移動のなかの「からゆきさん」――日本の開国から戦間期にかけての通時的分析
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17J03823
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
嶽本 新奈 明治学院大学, 社会学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 移動 / 権力 / 「からゆきさん」 / 再生産労働 / 密航 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、熊本、長崎、で福岡での資料収集に励んだ。特に長崎では地元で発行されていた新聞から密航摘発記事を大量に収集することができた。ただし、現在整理と分析に努めているが、膨大な量であるため当初の予定より時間がかかっている。 また、少しずつではあるが文献、資料、映像から「からゆきさん」のネットワークが見えてきた。本課題の「からゆきさん」の再生産労働の実態解明と合わせて着実に考察を深めていきたいと考えている。加えて、老年の「からゆきさん」と過去に直接出会ったことがある方々にインタビューをすることができた。晩年の「からゆきさん」に出会った方々の話は、「からゆきさん」の子どもや配偶者の状況含めて再生産労働とも大いに関係する事柄であるため、貴重なインタビュー機会となった。 他方で、インタビュー調査をしていく過程で地元の方々の「からゆきさん」に対する複雑な思いもみえてきた。「からゆきさん」をどのように語るのか、あるいはどのように語ることができるのか、長崎や熊本の関係者の方々の葛藤はいまもまだ続いていることを調査の折々に感じた。こうした心情を軽視することなく、その語り口の背後にある歴史的背景や権力構造をも考察していく必要があるだろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
進捗状況がやや遅れている理由としては、資料の膨大さにある。当初想定していた以上の資料が必要となったため、その収集と整理に時間がかかっているためである。また、現地調査で地元の方々にインタビューを行う上で、信頼関係を築く時間が必要なためである。
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Strategy for Future Research Activity |
進捗状況が遅れていることの反省を踏まえ、資料整理等はアルバイトを雇ってお願いするなど、より効率的に作業が進められるよう模索していきたい。また、本課題の研究遂行には国内の調査はもとより、国外での資料収集も不可欠なため、入念な計画を立てて、時間確保に努めるようにしたい。
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Research Products
(5 results)