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2017 Fiscal Year Annual Research Report

膜貫通型の細胞膜修飾分子の開発と細胞性製剤の治療効果向上への応用

Research Project

Project/Area Number 17J03832
Research InstitutionKyushu University

Principal Investigator

畠中 渉  九州大学, 工学府, 特別研究員(DC2)

Project Period (FY) 2017-04-26 – 2019-03-31
Keywords膜貫通分子 / タンパク質認識 / ペプチド固相合成法 / 1,3-双極子環化付加反応
Outline of Annual Research Achievements

平成29年度、私は膜修飾分子が膜貫通状態であることを証明する分子およびその合成、細胞を使用した評価系の構築に取り組んだ。具体的には、細胞膜内外に異なるリガンド分子を提示する膜貫通分子を合成し、細胞膜内外での膜貫通分子を介したタンパク質認識による機能の評価に取り組んだ。また、研究遂行するために必要な複数の研究機関に協力を仰ぎ、リガンド分子の提供および細胞観察機器の使用許可を得た。
現段階で膜修飾分子が膜貫通状態であることを証明するという当初の目標達成には至っていない。その原因として、膜貫通分子の合成が単純なペプチド固相合成法では収率が低く、困難であったからである。細胞を使用した詳細な検討に十分な量の分子を確保できないことがわかってきた。この問題点を解決するために、現在ペプチド固相合成法と銅触媒を利用した1,3-双極子環化付加反応を組み合わせた合成法により膜貫通分子の合成に取り組んでいる。現在までに、上記戦略のもと分子の合成に成功している。2つの分子はそれぞれペプチド固相合成法により合成した。また、これらの分子を使用してヒュスゲン環化反応の最適化にも成功している。具体的な反応条件としては、ヨウ化銅・トリエチルアミン・リガンド分子を触媒として有機溶媒中で環化反応させることで、原料が高効率で環化する条件を見つけ出している。本合成条件によって、目的とする膜貫通分子の合成に成功しており、30年度は実際に合成した分子を使用した細胞実験を行う予定である。最終年度は細胞膜内外に異なるリガンド分子を提示する膜貫通分子の合成および細胞を使用したその評価が実現できると期待される。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

現在までに29年度に確立を目指した、細胞を使用した膜貫通分子による細胞内外のタンパク質認識は実証できていない。そのため、区分は「やや遅れている」としている。以下にこの理由を示す。
これまでの研究として、細胞膜内葉に膜貫通分子を介して任意の分子を提示する膜貫通分子の合成に取り組んだ。これは、細胞外の刺激を膜貫通分子により細胞内へ伝達し、細胞内の特定のタンパク質を細胞膜近傍に集積させる実験を見据えた分子である。具体的なリガンド分子としては、トリメトプリムというリガンド分子を採用した。このトリメトプリムを修飾した膜貫通分子と対応タンパク質を発現させた細胞を使用することで上記の評価系が構築される。
これまでの実験の結果、トリメトプリムの膜貫通分子への導入、および葉酸還元酵素を発現する細胞の調製に成功している。膜貫通分子へのトリメトプリムの導入に関しては、ペプチド固相合成法に則り、リジンの側鎖に縮合する方法を確立した。また、細胞への酵素の発現については、プラスミドDNAを使用して細胞内にタンパク質を発現させる方法およびその評価系を確立した。しかし、当該分子をペプチド固相合成法で合成することが技術的に難しく、細胞実験に使用できるだけの分子を合成することが困難であるということがわかった。よって、現在までに細胞を使用した実験において膜貫通分子による細胞内外のタンパク質認識は実証できていない。

Strategy for Future Research Activity

29年度前半までの研究により、リガンド分子を修飾した膜貫通分子の合成が困難であることが課題としてわかった。そこで、29年度後半ではリガンド修飾膜貫通分子の合成を達成するために、ヒュスゲン環化反応を使用した分子合成に取り組んだ。具体的には、膜貫通分子を膜貫通部位と膜透過部に分けてそれぞれ合成し、ヒュスゲン環化反応により2つの分子を1つの全長分子にするという戦略である。分子を実際に合成し、ヒュスゲン環化反応の最適化を行うことで、膜貫通分子を高収率で合成する方法の確立を目指した。
現在までに、上記戦略のもと分子の合成に成功している。2つの分子はそれぞれペプチド固相合成法により合成した。また、これらの分子を使用してヒュスゲン環化反応の最適化にも成功している。具体的な反応条件としては、ヨウ化銅・トリエチルアミン・リガンド分子を触媒として有機溶媒中で環化反応させることで、原料が高効率で環化する条件を見つけ出している。本合成条件によって、目的とする膜貫通分子の合成に成功しており、30年度は実際に合成した分子を使用した細胞実験を行う予定である。

  • Research Products

    (4 results)

All 2017

All Presentation (4 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results)

  • [Presentation] 膜透過ペプチドを利用した膜貫通タンパク質ミメティクスの開発2017

    • Author(s)
      畠中 渉, 岸村 顕広, 森 健, 片山 佳樹
    • Organizer
      第49 回若手ペプチド夏の勉強会
  • [Presentation] 細胞膜電位を利用した膜貫通タンパク質模倣分子の開発2017

    • Author(s)
      畠中 渉, 岸村 顕広, 森 健, 片山 佳樹
    • Organizer
      第66 回高分子討論会
  • [Presentation] Design of Artificial Transmembrane Receptor for Cell Surface Engineering2017

    • Author(s)
      W. Hatanaka, A. Kishimura, Y. Katayama, T. Mori
    • Organizer
      Biomaterials International 2017
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] Use of Membrane Potential to Achieve Transmembrane Modification with an Artificial Receptor2017

    • Author(s)
      W. Hatanaka, A. Kishimura, Y. Katayama, T. Mori
    • Organizer
      ICMSE 2017
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2018-12-17  

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