2019 Fiscal Year Annual Research Report
ルイ=ルネ・デ・フォレ研究――新しいデ・フォレ像へ向けて
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17J04117
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
今関 奏子 早稲田大学, 文学学術院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | ルイ=ルネ・デ・フォレ / 20世紀フランス文学 / フランス詩 / フランス小説 / インファンス / 子供 / イヴ・ボヌフォワ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も研究指導委託により、パリ第七大学ドミニク・ラバテ教授指導のもと研究を進めた。本研究は、ルイ=ルネ・デ・フォレ作品における「子ども」像に注目することによって、作家と言葉、もしくは沈黙との緊張をはらんだ関係を描き出し、それを20世紀後半のフランス文学の文脈に位置づけることを目的としている。本年度前半は、より広い枠組みでデ・フォレ作品を捉えるために、前年度に準備作業を行ったルイ=ルネ・デ・フォレ作品とイヴ・ボヌフォワの詩作における子どもの比較を引き続き行った。言葉を得ることによって世界との関係性を変化させる子ども像を比較することによって、両作家がそれぞれいかにして言葉によって言語以前の世界を保とうとしているか明らかにするため、フランス語で論文執筆を進めた。後半は、上記の比較から明らかになったデ・フォレ作品における子ども像の特異性を作品に沿ってさらに具体的に論じるため、デ・フォレの短編作品「錯乱した記憶」の精読を集中して行った。その研究結果は、「ルイ=ルネ・デ・フォレ「錯乱した記憶」における<子ども>と<想起>」と題し、2019年度フランス語フランス文学会関東支部で発表した。発表では、これまで言葉をもたない「インファンス」を足掛かりとして論じられてきたデ・フォレ論を発展させるため、むしろ作品中のなかにあらわれる具体的な子ども像―ここでは特に思春期の像―に注目することによって、抗いがたい魅力を放つ「インファンス」が到達不可能であるときに、記憶を自ら十全に生きなおすことと言葉に置き換えることの間で、それでも書くということの矛盾と、そしてその矛盾自体が作動させているデ・フォレの想起のエクリチュールの特異性を具体的で詳細な作品分析によって明らかにすることができた。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)