2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17J04347
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
冨田 啓貴 九州大学, 地球社会統合科学府, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
|
Keywords | 古人骨 / 生物考古学 / 古病理 / 江戸時代 / 都市化 |
Outline of Annual Research Achievements |
30年度までの研究では、江戸時代人骨のエナメル質減形成、クリブラ・オルビタリア、齲歯などの口腔疾患の比較から、江戸時代人の生活誌を身分や都市・村落の観点から復元を試みてきた。方法としては、各分析項目のデータについて、身分あるいは遺跡の立地環境から都市(城下町)と非都市(村落)に分けて、各遺跡間の疾患の罹患率の比較を行った。その結果として、身分間・都市/村落間で各疾患に有意な違いは認められなかった。この結果から、身分間・都市/村落間で骨に残るほど健康状態が大きく異ならないことが明らかとなり、これまでの単純な身分・都市/村落という比較ではなく、各遺跡の集団による地域的な環境の違い、生業や生活環境の違いを踏まえた上で分析を行っていく必要があることが明らかとなった。また、幼少期のストレスとその後の余命との間の関係性が医学、古病理学の分野で指摘されている。そのため、エナメル質減形成を持つ個体とそうではない個体で生存曲線を作成し、死亡年齢を比較したところ、一定の傾向は認められずエナメル質減形成を持つ個体で早く死亡している遺跡もあれば、長く生き延びている個体も見られ、これまでの研究で言われてきた幼少期にストレスを受けた個体が早く死亡するという傾向は見られなかった。今後は、各指標の相関なども検討していき、総合的に江戸時代人の健康状態を復元したいと考えている。しかし、これまでの研究結果は、まだ投稿論文などにまとめられていないため、早急にこれまでの研究の結果をまとめ、査読雑誌に投稿する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
30年度に観察を予定していた資料に関して、観察・調査に行くことができなかった遺跡があるため、遅れていると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
30年度は、早急に資料の観察・調査を行い、分析を行う。また、結果をまとめ、博士論文の執筆を開始する。
|
Research Products
(6 results)