2017 Fiscal Year Annual Research Report
Exploratory study of CMOS integrated microfluidics mechanism for innovative 3D-LSI cooling system
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17J04382
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡本 有貴 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 電気浸透流 / 高電圧生成回路 / LSI冷却 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で最も重要なマイクロポンプの設計について、従来型の1対の電極で駆動する方式の電気浸透流ポンプの駆動を確認し、電気浸透流に必要な流路側面の表面電位(ゼータ電位)がシリコン基板を利用した場合でも十分に取れていることを確認できた。また、高電圧回路については、DRIEによるメサ絶縁を5V標準CMOSトランジスタに適用することで 30Vの動作を行うことができた。従来のメサ絶縁トランジスタを利用した高電圧スイッチング回路の研究では、スイッチングに必要な電圧操作は外部回路を利用して行っていた。今回の研究により、同じくメサ絶縁を利用した回路を前段に用いることで、所定の電圧と5 Vのクロック信号を入力するだけでスイッチングが行えるようになり、集積化に成功した。また、このメサ絶縁トランジスタを利用した昇圧回路の作製にも成功した。これは、従来のCMOS回路では絶縁破壊がトランジスタのドレイン端子と基板間で起きてしまうため、30Vが上限であった。そこで、メサ絶縁を利用して物理的に素子間を絶縁することで、それ以上の電圧に耐えられるようにした。また、素子間が絶縁されたことで個々のトランジスタ全てにおいてボディ・ソース間電位が0となり、昇圧効率を悪化させる原因となっていた、基板バイアス効果によりしきい値上昇を失くし高効率化が図れ、6個のトランジスタによる昇圧回路で29.8 V, 10個のトランジスタによる昇圧回路で49.2 V, 20個のトランジスタによる昇圧回路で95.4 Vの出力を行うことに成功した。さらに、作製した昇圧回路を利用して、1対電極型のマイクロポンプの駆動にも成功し、実際にマイクロポンプ駆動向け回路として利用できることを実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電気浸透流マイクロポンプについては動作を確認できた。また、高電圧生成回路については実際に提案した方法を実証し、作製したデバイスを通し100Vを成功し、実際に電気浸透流の駆動が行えることを示した。これにより、従来の目標であった集積型電気浸透流マイクロポンプの各要素について、作製が可能であることを実験的てに示した。一方で、温度センサについて、設計は行えたが、マイクロ流路内でその温度センサを利用し、冷却性能を評価することは行えなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の予定として、発熱LSIを擬似的に実現したマイクロヒーター・温度センサ回路を利用して作製したマイクロポンプの冷却能力を評価する。同時に、積層して3次元的に冷媒を循環できることを確かめる。 また、マイクロポンプの作製を行っていくにつれ、流路側面のゼータ電位が作製工程によって大きく変化してしまっていた。そこで、プロセス後の流路に用いる基板のゼータ電位を計測する装置が必要となることがわかった。そこで、別途、電気浸透流マイクロポンプとマイクロヒーターによる流量センサを集積した基板を作製し、小型平板向けゼータ電位計測装置として用いる予定である。
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