2019 Fiscal Year Annual Research Report
権威主義国における市民の政治参加に対する政治的信頼の影響 ー中国を例にー
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17J04399
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
劉 逍 東京大学, 法学政治学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 現代中国政治 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は現代中国を事例に、市民における政府と官僚への信頼感がいかに彼らの政治参加に対して影響を与えるのかを調べ、権威主義体制における政権維持のメカニズムに関する含意を導くものである。今年度は過去二年間の研究成果と既存の先行研究の蓄積を踏まえ、研究の構成に関して修正を行いつつ、研究の総括を行った。 具体的には、政府と官僚に対する信頼と密接に関連する政府・官僚の業績に対する市民の評価、及び公共財供給の現実の状況と評価の因果関係に着目しながら、以下の三側面から研究を行った。(1)政府による公共財の供給の効用について、それが政権維持に対して与える影響という視座を設定した。(2)比較政治学の視座から、現代中国を非民主主義的な政治体制の一例として取り上げ、官僚間競争とトップダウンの監督システムからなるメカニズムを中心に、非民主主義体制の下の公共財供給の形成要因について考察した。(3)実証分析において、ある地域における公共財の供給状況とその地域を管轄する地方政府の業績評価の因果関係を検討した。インフラの代表例である道路・医療保障・比較的新しいインフラの事例であるインターネットの三つの公共財を取り上げ、それらの整備が地方政府の業績評価に対して与える効果について分析を行った。分析の結果、公共財と地方政府の業績の関係に関する知見が得られた。具体的には、道路の建設は市民における地方政府の業績評価に対してポジティブな効果を与えている一方、インターネットの利用はむしろ地方政府の業績評価にネガティブな効果を与える傾向が確認された。中でもインターネットは使用者に多様な(時には地方政府に対して批判的な)情報取得の可能性を提供したものと考えられる。これらの分析結果は国際学会にて報告し、有益なコメントを得ることができた。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)