2018 Fiscal Year Annual Research Report
シロイヌナズナの根端分裂領域サイズを決定する分子機構の解明
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17J04539
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
杉山 輝樹 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 細胞周期 / ライブセルイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
シロイヌナズナの根の表皮は根毛細胞と非根毛細胞の2種類の細胞によって構成されており、両者の違いは根毛形成の有無のみならず、根毛細胞の方が非根毛細胞よりも分裂活性が高いことを明らかにしている。今までの結果から、非根毛細胞特異的に働く転写因子複合体であるNC複合体がクロマチン構造や転写を制御することによって非根毛細胞の細胞周期を抑制しているため根毛細胞と非根毛細胞の細胞周期活性に違いが生じていることが示唆されている。今年度は、T-clone解析を用いて、根毛細胞と非根毛細胞の細胞周期一周の長さを比較した。その結果、根毛細胞は非根毛細胞よりも細胞周期一周が短いことが明らかとなった。そこで次に、具体的に細胞周期のどのステージの長さが異なるかを調べるために細胞周期マーカーであるPCNA-GFPのライブセルイメージングを行い、根毛細胞と非根毛細胞の細胞周期の差を比較した。その結果、根毛細胞と非根毛細胞でG2 期の長さのみが異なり、非根毛細胞の方が長いG2期を有していることがわかった。G2期はEarly G2期とLate G2期の二つのステージによって構成されている。そこで次に、Late G2期のマーカーであるCYCB1;2-GFPを用いてライブイメージングを行った。その結果、Late G2期の長さは、根毛細胞と非根毛細胞で同じであり、Early G2期の長さのみが異なることがわかった。以上のことから、Early G2期の長さを制御する因子が、根毛細胞と非根毛細胞で細胞周期の差を生み出していることが考えられた。そこで次に、Early G2期の長さを制御するR1R2R3型のMYBに着目し解析を行った。その結果、R1R2R3型のMYBの一種であるRep-MYBが表皮のEarly G2期の長さの制御に重要であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
植物では難しいとされるライブセルイメージングの系を立ち上げることができた。また、それを用いて根毛細胞と非根毛細胞の細胞分裂活性の差がなぜ引き起こり、どのような分子メカニズムによって制御されているのかを明らかにすることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、投稿論文を作成中であるため、それに必要なデータを揃える。具体的には、根毛形成関係の変異体に細胞周期マーカーであるPCNA-GFPを導入し、ライブセルイメージングを行うことで、細胞周期の長さにどのような変化が生じているのかを解析する。また、Rep-MYBの活性がなぜ、根毛細胞と非根毛細胞で異なるのかを調べるために、サイクリン-CDK複合体に着目して解析を行う。さらに根毛細胞と非根毛細胞で細胞周期が異なる生物学的な意義を明らかにするために、根毛細胞と非根毛細胞の細胞周期が変化している変異体の細胞運命がどのように変化しているのか解析する。
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