2017 Fiscal Year Annual Research Report
ボラティリティ変動に現れる非整数Brown運動に対する高頻度データ解析
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17J04605
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
髙畠 哲也 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 非整数確率ボラティリティモデル / 高頻度統計解析 / Whittle推定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、実現ボラティリティの計測誤差を考慮した状況下で、対数資産価格過程モデルの一種である非整数確率ボラティリティモデルに対する高頻度統計解析理論の構築を行った。具体的には、実現ボラティリティの計測誤差を安定収束定理に基づきモデル化した枠組みにおいて、対数株価過程の対数ボラティリティ変動の激しさ・大きさに関連するパラメータであるHurst指数・拡散係数の推定量を局所正規近似に基づく擬似Whittle推定量により構成し、高頻度観測の状況において構成した推定量の漸近的性質を調べている。構成した推定量は、実現ボラティリティが高頻度に観測される場合に一致性を有することが証明され、また実現ボラティリティが計測誤差を含む場合においても、数値的に安定した推定値を得られることが数値実験により示された。更に、Oxford-Man Institute’s Realized Libraryで提供されている実現ボラティリティの計測値を用いて、幾つかの主要株価指数に対する実データ解析を行った結果、より数学的・数値的に精緻な枠組みにおいて、近年数理ファイナンスの分野で注目を集めているラフ・ボラティリティモデルを支持する推定結果を得ることもできた。これまでに得られた研究成果は、論文「Statistical Inference for Fractional Volatility」に現在まとめており、今後投稿を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実現ボラティリティの計測誤差を考慮した状況下で、非整数確率ボラティリティモデルに対する未知定数の一致推定量が構成でき、また数値的にも安定した推定結果を得られることを数値実験により示すことができた。更に構成した推定量を利用することで、近年数理ファイナンスの分野で関心を集めている、ラフ・ボラティリティモデルを支持する推定結果を主要な株価指数に対して得られた点も大きな進展があったと言える。そのため、研究は順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、これまでに得られたHurst指数と拡散係数に対する推定量の漸近正規性の結果を、Hurst指数の真値が1/2以下の場合に拡張することを試みる。その後、スペクトル密度に関する適合度検定統計量の構成および高頻度観測下での適合度検定統計量の漸近的性質について研究する。
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Research Products
(5 results)