2017 Fiscal Year Annual Research Report
大宇宙物流時代に向けた高周波プラズマと誘導加速を組合せた無電極推進機の研究
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17J04669
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柳沼 和也 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 宇宙工学 / 電気推進 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者はこれまで,100kW級大型電気推進実現の前段階として2kW級無電極推進機のコンセプトを提案し,原理実証実証を行ってきた.ここからさらに2kW級無電極電機推進機の高効率化(~50%)を行い,大電力化への適応可能性を示すためには,(1)高周波プラズマ推進機のための直接推力評価が困難であること (2)推力発生過程の物理現象が複雑で解明されていないこと (3)推進機の高効率化が達成されていないこと,の3つの問題点がある.本研究ではまず,零変位法と非接触電力伝送法を組合せたスラストスタンドによって,直接推力評価を可能にする.次にて推力発生過程を時間的に4つのフェーズに切り分けプラズマ計測を行い,スラスタ内部のプラズマ密度変化現象に焦点を絞り,推力発生過程を議論する.さらに,多段加速コイルを不可した実験を行い,高効率作動への効果及び大電力作動への適応可能性を示す. 昨年度は4つのフェーズに切り分けたプラズマ過渡応答計測と,定常的なプラズマ加速実験まで行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の研究項目は大きく3つある.(1)直接推力測定装置の実現,(2)プラズマ生成及び加速過程の解明,(3)高効率定常加速の実証. このうち(1)に関しては,本研究室の他研究班が現有している直接推力測定装置を使用するなど,本研究への応用に向けて動き出した.(2)については,昨年度パルス的なプラズマ加速とプローブ法を組合せた過渡応答測定を行い,プラズマ加速用磁場の浸透が予想以上に大きく,誘導加速的な現象よりも電熱加速(誘導磁場がプラズマへ熱的に消費されている)ことがわかった.この実験結果に伴い,プラズマ抵抗を1桁以上下げたプラズマ源を使用した実験を計画している.(3)については,定常的なプラズマ加速に昨年度初めて成功した.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度特に注力した研究項目(2)のプラズマ生成及び加速過程の解明に関して,ラズマ加速用磁場の浸透が予想以上に大きく,誘導加速的な現象よりも電熱加速(誘導磁場がプラズマへ熱的に消費されている)ことがわかった.つまり,提案するプラズマ加速方法による推力発生は実験的に確認できていたが,効率的なプラズマ加速が行えていないということが明らかになった.この状況に対する方策として,プラズマ源パラメータを操作し,プラズマ抵抗を1桁以上下げた(すなわちプラズマの電気伝導度を上げた)プラズマ源を用いて追加実験を行っていく.これは現在使用しているプラズマ源の口径を小さくすることで,容易に変更が可能なので,取り急ぎ取り掛かる. 研究項目(3)の高効率定常加速の実証については,昨年度までに定常加速の実験操作方法が確立されたため,(2)の実験において適切なプラズマ源パラメータとプラズマ加速パラメータの摺合せが行えれば,逐一定常加速実験を行える状況である.
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Research Products
(2 results)